第40章 さようなら
ひよ里の文句は尽きない…
「そもそもなんでウチがオマエの手伝いせなあかんねん!!ウチ副隊長やぞ!!オマエ何席や言うてみぃ!!」
マユリをビシッと指指して怒りを顕にする
「笑止。この私に席次など必要ないのだヨ」
「ウチが言うたるわ!三席や三席!!」
マユリに向けていた指を今度は親指をたて、自分を指す
「わかるか!?ウチは副隊長オマエは三席!!オマエがウチに命令したらあかんねや!!」
それに対しマユリは天井を指し、落ち着いた声で答える
「君こそ解っているのかネ?この技術開発局に於いては私が副局長、君は研究室長。私のほうが上だ。隊規に従うと言うのであれば、此処に居る以上君は私に従うべきなんだがネ」
マユリの返しに耐えきれなくなったひよ里はそもそもの元凶を呼び出した
「喜助ェ!!!」
呼ばれた本人は入り口から眠そうに顔を出した
「はぁ~~~~~~い……何スかもう、静かにして下さいよ……ボクあんまり寝てないんスから……」
「どうせ紫苑と如何わしい事でもしていたんだろう」
「…やだなァ涅サン」
あの後紫苑が眠ったのを確認してボクは局に戻った
そして完成させた彼女のための贈り物
起きたら渡そう…そう思っていたけど、ここ最近の睡眠不足は丸1日寝たくらいじゃ取り戻せなかったらしく、発信器で脈の数値を確認すると、夜になった未だ眠っているらしい
「こいつ何とかせえや!あんたの教育が悪いねんぞ!……?何やねんそれ?」
ひよ里は喜助が担いでいる、人形のようなものに目を奪われた
「あ、コレっスか?新しい義骸の試作品っス」
それが義骸?
珍しい形の見慣れぬソレにひよ里は驚く
「平子サンが言ってたじゃないスか。流魂街の事件は人の形を保てなくなって、魂魄が消えるんじゃないかって」
そういやそんなこと言ってたなァ…
「仮にそれが本当だとすれば、分解しかけた魂魄をもう一度人形の器に入れれば、魂魄は消えずに済むんじゃないかと思って。その器を義骸技術を転用して作ろうとしてるトコっス」
「オマエ……」
ひよ里は喜助の説明の半分くらいしか理解できていなかった
「ところで紫苑は大丈夫なんか?今日も休みやったけど…」