第40章 さようなら
「ぁ……」
「動きますよ」
「ぁん……やっ……ァ!……んぁっ」
ヌチャヌチャと響く水音
乱れた甘い呼吸と、滴り落ちる汗
「紫苑のせいで、も、イキ……そっス……!」
「喜助さ……愛してっ……るっ……ゃぁあん!」
「愛してるっ、紫苑っ」
紫苑のナカに欲望をたっぷりと注ぎ込んだ喜助は、そのまま紫苑にもたれ、唇にキスをした
「最高に気持ちよかったっス…」
「私、も……ハァ」
なんとか呼吸を落ち着かせ、紫苑の上から避ける
「紫苑、愛してるよ…」
「私もだよ、喜助さん」
紫苑を抱き寄せて唇を重ねる
このまま溶け合ってしまえればいいのに
2人でひとつになれればいいのに
もう一度ひとつになりたい…
「ちょ、喜助さん…っ」
「まだだ、まだ足りないっ……」
「もうちょっと休んでっ……から」
「無理っス…紫苑が悪いんスよ。ボクを、こんなにさせて…」
…─
気だるく甘ったるい情事の後の時間
産まれたままの姿で何度も唇を合わせる
彼女はもう既に瞼が閉じかけていて、眠りの限界が近いことを表していた
「寝ていいよ…」
「ちゅー…したい」
なんて可愛いお願いなんスか…
ちゅ
唇を合わせると満足気にニッコリ笑って 、紫苑はまた長い眠りについた
行かないで…
そう聞こえた気がした
…─
「オイ!!二十二番の容器はまだかネ!」
マユリが待ちきれないとばかりに机をバンバンと叩く
「まだそんな処に居たのかネ!早くし給えヨ!」
未だ鳴り止まぬ机を叩く音
自分の顔を隠すくらいの大きな容器を持ったひよ里がよろよろとマユリのほうへ向かう
「……全く。この調子じゃ日が暮れてしまうヨ」
その言葉にカチンと来たひよ里は思い切り容器を床に叩きつけた
ガッシャァァァン!!
容器は無惨にも細かく砕け飛び散る
「じゃかァしァっ!!!人が親切で手伝ったっとったら、何やねんその口のきき方は!!フザけんなや!ハゲ虫コラァ!!」
熱くなるひよ里にマユリは涼しい顔で答える
「……何を急に怒っているのかネ。君のそういう処……正直引くヨ」
「やかましい言うてるやろ!!」