第40章 さようなら
第40章 さようなら
"ガンガンガンガンガン─"
"……緊……招……!……緊……招……!"
日に日に鮮明になっていくその夢は、私に1つの不安をもたらした
正夢…
「ハァ……ハァ……」
心臓の鼓動が早い…
嫌な汗が滴り落ちる
隣に寝ている喜助さんの手を、強く握った
どこにも行かないで…
「眠れないの…?」
眠そうに目を開けた喜助さんが、片目で私を見て言う
「ごめん、起こして……大丈夫だから……ハァ」
「また夢でも見た?」
喜助さんは起き上がって、安心させるように私を抱き締めた
「…行かないで…」
その声は震えていて
「どこにも行かないで…」
ボクの腰にぎゅっと強く抱きついた
「行かないよ…ずっと傍にいる」
…─
目覚めが随分悪かった
自分より早く出る喜助さんに、散々心配されて、だけど大丈夫…と無理に笑顔をつくって私も出勤した
「紫苑、書類を持ってきたぞ」
「夜一さん。珍しいですね」
「何、暇じゃったからの」
書類を受けとると、紫苑は腰かけ夜一はその傍に寄りかかった
「大分疲れてるみたいじゃの?」
「そんなことないですよ」
必死に作った笑顔で騙せるとでも思っているのか…
「すまん…ちと喜助のところへ行ってくる」
夜一は紫苑との会話も早々に、技術開発局へと向かった
「なんじゃ平子。居ったのか」
「サボりやサボり。ここ見つかりにくいんや」
「夜一サン、どうしたんスか?」
「藍染の苦労が目に見えるのぅ」
夜一は長いソファの喜助の隣に座る
「紫苑最近ちゃんと寝ておるか…」
「なんや、また眠れてないんか?」
「………」
喜助の切なそうな表情に夜一の心配が的中した
「その様子じゃと、当たりじゃな」
「夢を、見るみたいなんス」
「なんの夢や?」
「ボクが居なくなる夢っス」
なんや、ノロケか?と茶化そうとする平子をジロリと夜一が睨み付ける
「同じような夢を、毎日…」
「それで寝不足なのじゃな」
「なんとかせんと、また薬飲んでまうで」
分かってますよ…
心の中で呟いた