第35章 手出したら命無いっスよ
第35章 手出したら命無いっスよ
春を前にして護廷十三隊は各隊で異動が増える
新入隊員入隊を前に、体制を改めて確認し整えておくのが目的だ
「喜助ーまた来たで」
「またっスか…」
ひよ里に続いて入ってきたのは
「浦原隊長、ちょっといいかな」
「浮竹サン自ら、どうしました?」
十三番隊隊長の浮竹だった
「いや~君のところの西園寺さんだっけ?なんでも回道が上手いと聞いたんだけど」
喜助の予想は見事に的中した
「どうだろう?俺の治療担当も兼ねてウチの四席として迎えたいと思っているんだが…」
「スミマセン、お断りします」
「ははっ、やっぱりか」
浮竹も予想が的中し、思わず笑いがこぼれる
「ダメ元で言ってみたんだ。君たちの話はよく聞いてるよ。若くて羨ましいなぁ」
「わざわざ来て頂いたのにスミマセン」
「いやいや、西園寺さんによろしく。お幸せにね」
爽やかに帰っていく浮竹に、喜助はホッとする
「喜助ー」
「またっスか」
紫苑の容姿と仕事の腕前で、名前が大分知れ渡っているらしい
回道を習ったというのと、現世任務に少なからず行けるようになったということで、ここ数日、紫苑を欲しいという隊からの移隊要請が尽きない
「おっはよー!白ちんだよー!」
「白サンスか」
朝からハイテンションなのは九番隊副隊長の久南白
「ねぇねぇー紫苑ちんちょうだーい、お願い」
机に両手を置いてねだるように見つめる彼女
「絶対嫌っス」
「えーなんでー、ずーるーいー!紫苑ちん欲しいー!やーだー!」
これも喜助の予想が的中し、白は床を転げるように駄々をこねる
「スミマセン、紫苑はボクの大事な子なんスよ」
「白だって紫苑ちん大好きなのー!」
「こら白!浦原隊長に迷惑かけてんじゃねーよ」
そこに入ってきたのは彼女の隊の隊長の六車拳西だ
「悪かったなウチのが。紫苑貰う気は無ェから安心してくれ」
「ありゃ、そうなんスか?」
「アンタのことだ、渡す気なんて更々無ェんだろ。白が勝手に来ただけだ。邪魔したな」
そう言って未だ文句を言う白を担いで隊首室を後にした