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With me

第34章 お仕置きっス



「ギン力持ちなのね」

「一応男やからね」


どこからかでてきた干し柿をひとつ差し出され、それを手をとる


「ギンはさ、まだ若いのにどうして死神になって護廷に入ったの?」


一瞬、ギンはシュンと遠くを見つめた


「泣かせたくない子が居んねん」

「泣かせたくない子?」

「ボクの大切な子が、泣かんでも済むように…」


私は干し柿を食べるのも忘れて、ギンの大人っぽい切ない表情に目を奪われていた


「その子、女の子?」


するとギンは照れもせずに


「そうや!」


と笑った


「ギンの好きな子?」

「…好きとか、大切とかじゃ足りないんよ。それ以上、あの子はボクの全てなんや」


なんだか初めて会ったときの印象と大分変わった

そんな大切な子がいるのになんで、色々な女性に声をかけるんだろうか


「へぇ、その子どんな子?」

「金髪で髪ふわふわの子や」

「じゃあギンがその子守ってあげなきゃね」


ギンは優しい顔になって


「ボクな、色々終わったら、その子に言いたいことがあんねん」

「言いたいこと?」


ギンは一呼吸置いてから、その言葉を教えてくれた

子供ながらにこんな気持ちにさせるその子は、一体どんな子だろう

なんだか胸がきゅーんとした


「なんでやろ。ボク、この話誰にもしたことないんよ。不思議やね、紫苑ちゃんには、素直になれる」

「そっか、それは嬉しいな」

「なァ、お願いやねんけど…。この話は誰にも言わんでな。信じてんで、紫苑ちゃん」


その言葉が妙に力強くて、私はすぐに頷いた


「分かった。その子が泣かないで済むようになるといいね」

「うん!」


そろそろ喜助さんが心配する

私はギンと別れて、自隊へ向かった



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