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With me

第34章 お仕置きっス



「紫苑、紫苑。はい、あーん」

「は、恥ずかしいって」

「いいからいいから」


半ば無理矢理にも口に入れられた煮物に、抵抗する暇もなかった


「見せつけてくれるやんけ、な、琴乃。俺らも」

「や、やだよ!」

「さっききゃらめるやってくれたやんけー」

「あれは見られてないと思ってたから!」

「ちょォ黙れや」


平子も対抗するかのように琴乃の口に人参を突っ込む


「紫苑、ボクらももっとイチャイチャしないと!」

「はいはい、ご飯食べよ」

「紫苑が冷たいっス!」


紫苑は喜助の口を塞ぐように大根を突っ込んだ

何か言いたげな喜助を無視して紫苑は食事を続ける



食事が片付けられ、部屋には二組の布団が敷かれた


「わーふかふか!」

「気持ちいー!」


布団が敷かれるなりダイブした紫苑と琴乃はきゃっきゃと騒ぐ


「なんや子供みたァやなァ」

「かわいーじゃないスか」


平子と喜助は広縁に座り、酒を酌み交わしていた


大人しくなったと思い、布団に目をやると2人は静かに寝息をたてていた


「寝るの早くないスか」

「あんだけはしゃいでたからなァ」


2人はそれぞれの彼女に掛布団を掛けてあげ、また広縁に戻った


「なァ、琴乃五番隊にくれや」

「嫌っス」

「なんでやーケチやな」

「琴乃サンは大事なウチの隊員です。七席として充分やってくれてますしね。それに琴乃サンが移隊したら、紫苑が寂しがりますからねぇ」


まァそうなるわな…

断られるのを分かっていて聞いた平子は、あっさりと納得し、酒を口に含む


「……なァ、紫苑の喘息治す方法、ホンマにないんか?」

「ボクは医者じゃないっスよ」

「スマンスマン…お前ならなんとかしてまいそうやから」


喜助は酒をついだその手を俯きがちに見つめた


「無い訳ではないんスけど…」

「ホンマか?」

「まだ確実じゃないんス」

「というと?」

「それは言えないっス」


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