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With me

第34章 お仕置きっス



「喜助、客やで」

「客?」


技術開発局に入ったところで、後ろからひよ里サンに声をかけられた

ひよ里サンが顎でボクのほうを指すと、人影が現れた


「おや、珍しいっスね、矢胴丸サン」

「昨日も来たんやけど」

「あぁ、スミマセン」


ひよ里サンは他の仕事があるのか、すぐに局を後にした


「紫苑と現世行ってたんやって?」

「はい、特に問題も無くて」

「そら紫苑も喜んだやろな」


ソファに我が物顔で座るなり、眼鏡を外して眺める


「これ、ちょっと調子悪くて…見てもらえると助かるんやけど」


眼鏡をそっと喜助のほうに伸ばすと、なんとも言えない表情の顔が返ってきた


「えーお店に持っていけばいいじゃないスか」

「せやからそのお店が休みなんや」

「ボクこう見えて忙しいんスよ」

「眼鏡がないとアタシ仕事にならへんねん」

「えーめんどくさ…」


キィと扉が開く音に2人の視線がいく


「喜助さん、これ報告書…あ、リサさんお疲れ様です!珍しいですね」


報告書を持って喜助に近づきながらリサに声をかける


「紫苑!丁度エェところに!」

「はい?」


喜助にレポートを渡しながらリサのほうをみる


「浦原さんがアタシの眼鏡なおしてくれへんのや」

「眼鏡?」


これやこれ、と手に持っていた眼鏡を見せつける


「なんや調子悪くて仕事にならへんねん。紫苑からも頼んだってくれへんか?」


そういうこと…と紫苑は喜助に向き直る

あちゃーという顔の喜助


「喜助さん、お願いできる?」

「紫苑の頼みならしょうがないっスねぇ。いいっスよ」

「…惚れた弱味やな」


リサの冷ややかな目線が2人を見つめる


「じゃあ私はこれで、リサさんごゆっくり」

「あぁ、助かったわ」


紫苑が出ていった後、喜助はリサの眼鏡を受け取った


「これぐらいならすぐ終わりますよ」

「よろしく頼むわ」


眼鏡に向かってカチャカチャと始めた喜助の背中をリサは見つめていた


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