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With me

第33章 喜助さんの話しないで



扉がパタンとしまると、ボクたちも帰りましょうか、と喜助さんが立ち上がる


「琴乃大丈夫かな…」

「2人の問題っスから…紫苑はボクだけ見てればいいの」


胸あたりまで伸びた長い漆黒の髪に優しく指を通すと、頬に手を添えて柔らかく口付けをした


「未だにキスされるだけでドキドキする…」

「ボクもっスよ」


湯冷めしたらダメだから、と喜助さんはまた大事な隊首羽織をかけてくれて、喜助さんの部屋に向かった


「帰ったらゆっくり休むんスよ?」

「喜助さん、やっぱり明日仕事行くよ」

「何言ってるんスか、駄目に決まってるでしょ」


自分ではもうすっかり良くなったと思っている紫苑


「駄目…?」


くっ…なんだってそんな顔するんスか…

大体どうしてそんなに仕事に行きたいんスか…


「…上目遣いしても駄目っス!」

「分かった…」


珍しくわがままを言ったかと思ったら、急に大人しくなった

ちょっと強く言いすぎちゃいましたかね…


「喜助さんの寝間着抱いて寝るから」

「え…」


なんだこの可愛い生き物は…

ボクの寝間着抱いて寝てる紫苑

見てみたい…


「じゃあボクも局に紫苑の着物持っていきますね」

「な、なんでそうなるの!」

「駄目?」

「可愛く言っても駄目だよ!」


とにかく元気になって良かった

紫苑が具合悪いままだったら、心配で仕事なんか手につかないんスから


「…明日、早く帰ってきてね」

「…あんまり可愛いことばっか言わないでくださいよ」

「うん、ごめんね」


照れた喜助に満足気な紫苑は、そっと喜助に腕を絡めた







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