第32章 もっと喜助さんが欲しい
「また入るときは儂を誘うんじゃぞー」
着替えと片付けの終わった夜一さんは颯爽とその場を離れた
外に出たらもう空は赤くなっていて、随分長いことあそこにいたんだって思い知らされる
「喜助さん、ありがとう。凄く楽しかった!」
「喜んで貰えてよかったっス」
紫苑は喜んでくれたし、水着も着て貰えたし、満足っス
「あと海のこと、他の人には言わないでくださいね」
「あ、うん……そうだよね」
そりゃそうだ…そもそもあそこ自体秘密の場所だったらしいし、それを私に教えてくれただけでも大変なことだというのに
琴乃にも教えたくなっちゃう私は本当に駄目な奴だ
でも、1人に話せばたちまち広がる
そんなことになったらもう喜助さんと来れなくなってしまうかもしれない
それだけは避けたい
「紫苑の為だけに作ったから」
あぁ、私はこんなに愛されている
もうこの人しか居ない
これからずっと…
「喜助さん、ずっと一緒に居てね」
「はいな」
布団に入るなりお互いを求め合った
言葉も出てこないくらい
熱く熱く愛し合う
足りない
もっと……喜助さんが欲しい
私を喜助さんでいっぱいにして……