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第29章 あの人は、精神安定剤だから



第29章 あの人は、精神安定剤だから



「紫苑さん!!」


みるからに怖い顔をした勇音さんが、部屋の前に立っていた


「あなた御自分の体分かっているんですか?!何の為に此処に居るんですか?!抜け出すなんて言語道断です!」

「ご、ごめんなさい…」


いつも腰が低くて優しい彼女が珍しく怒っている


「東雲さんが一度止めてくれたんですよ?なんでだか分かります?」

「え…と」

「あなたの身体に負担になるからですよ!他の人より身体が弱いんですから、もう少し自覚を持って…!」

「ごめ…」


言いかけてふらついた


「紫苑!」

「大丈夫ですか?!」


勇音さんの言う通り、貧血で倒れた身体に大分負担だったらしい


喜助さんに支えられてベッドに横になる


「すみません、ボクのせいなんス。今回は大目に見てあげて貰えませんか?」

「いえ、私こそ…少し言いすぎました…」


顔色が悪い…

大分、無理をさせてしまったようだ


「西園寺さん、お身体如何ですか?」

「卯ノ花隊長」


卯ノ花は部屋に入ると紫苑の顔に優しく触れた


「あの、すみませんでした…」

「ご無事でなによりです」


絶対怒られると思ったのに、卯ノ花隊長は予想とは外れて優しかった


「明朝、西園寺さんにお話があるのでお部屋にお邪魔しますね」

「はい…」

「今日はもうゆっくり休んでくださいね」


ニッコリ笑って、卯ノ花隊長は勇音さんを連れて部屋を出た


「なんの話っスかね…」

「明日改めて怒られるんじゃ…」

「ボクも付いていようか?」

「子供じゃないから大丈夫」

「そんなこと言ってるうちは、子供なんスよ」


笑いながら優しく頭を撫でる


「明朝ってことは…今日私此処で寝るってことかな?」

「そういうことになりますね」

「そっか…寂しいな…」

「明日になったら戻れますよ、きっと」


喜助さんの手を握って、名残惜しく離した

仕事放り出して来たから戻らなきゃ、と紫苑にキスをして部屋を出た


四番隊舎を歩いていると、話し声が聞こえた


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