第4章 恋人はいますか?
第4章 恋人はいますか?
揺れてる…
あったかい…
どこだろうここは…
ゆっくり目を開けると、月のような色をした髪が目に入った
その瞬間、一気に眠気が冷めた
「う、浦原隊長!……ったぁ」
「気がつきました?」
どうして浦原隊長が?
みんなで飲んでいたはずなのに…
あれ?ここは外?
「酔って眠っちゃったみたいだから送ってあげなって、平子サンが」
「そ、そうだったんですか!すみません!」
「お酒弱いんスね」
段々と意識がはっきりしてきて、今のこの状況を理解した
「あ、あの…」
「はぁい?」
「お、おろしてくださいっ」
「え~いいじゃないスか、このままで」
「む、無理ですよ!恥ずかしいし情けないし!重いし!」
紫苑は一刻も早く喜助の背中から降りたかった
「いいけど、歩けるんスか?」
そう言って喜助が紫苑を降ろす
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、降ろされた紫苑はフラフラとして足元が覚束ず、視界がぐらんとした
「全然ダメじゃないっスか」
そんな紫苑を喜助が抱き止める
浦原隊長って、細身に見えて意外と筋肉ある…ってそんなこと考えてる場合じゃなくて…!
「ほら」
喜助が紫苑の前に、背中を向けてしゃがむ
トクン─
胸が鳴った
確かに鳴った
「で、でも…」
「いいから」
どうして胸が鳴るの?
こんなの、初めてだった
紫苑はゆっくりと喜助の背中に乗った
浦原隊長の背中は大きくて、あったかくて…心地いい…
「あの、浦原隊長…」
「なんですか?」
「ひとつ、聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
「あの…隊長は…恋人……居ますか?」
紫苑は聞いたことを、後悔した
自分は一体何を聞いているんだろう…
「あ、いや、そのみんなが隊長に聞きたがっていただけで、…やっぱ忘れてください!今の!」
「いませんよ」
え?
「え、そうなんですか?」
紫苑は何故か自分の心がホッとするのを感じた
なんで私ホッとしてるんだろ…
「ボク恋人作らないんスよ。面倒なんで」
少しだけ、目線が下がった自分が居た