第26章 気づいたら、体が、顔が勝手に…
腰にまわされた手が力を増していく
「大好き」
大好きなんて何回も聞いているのに、その度にボクの顔は熱くなる
こんな不意打ち狡いっスよ…
「ボクも大好きだよ…」
振り返って額にキスをする
ごはん作っちゃうから、と握った手が離れる
少しだけ寂しそうな顔をした紫苑は、トコトコ歩いて再び布団に横になり、喜助を見つめる
なんだかいつになく元気がない
盛り付けを済ませた料理を並べ、ゆっくりと起き上がった紫苑の背中を支える
「具合でも悪いんスか?」
「ちょっとお腹痛い」
「そろそろじゃないっスか?…」
「んー確かに」
「ちゃんと薬飲むんスよ?」
私は生理の出血が多くて、それに合わせて貧血もひどくなる
だから毎月薬を飲んでいる
「食べないの?」
「食べる…けど」
「けど?」
紫苑はゆっくり、喜助の膝に頭をのせた
「ちょっとこうしていたい…」
喜助は条件反射のように紫苑の頭を撫でる
「いくらでもどうぞ」
「あ、食べづらいよね…」
ゆっくり起き上がった紫苑は、再び箸を持った
「じゃあごはんのあとね」
「うんっ」
唯一の、2人でゆっくりできる時間
誰にも邪魔されないで、喜助さんを一人占めできる
ずっと此処にいれば良いのに…