第21章 保護者みたァやな
第21章 保護者みたァやな
仕事が始まると首筋の紅い印を見られて、リサさんや琴乃に質問責めにされた
その度に恥ずかしくなって逃げ出して
逃げ回っていたら喜助さんに呼び止められた
「紫苑、ちょうどよかった」
「はい?」
「紫苑の喘息の薬の試作品なんスけど、いくつか作ってみたんス。副作用が出ないか、ひとつずつ試して欲しいんスけど…」
「わぁ…こんなにたくさん…ありがとう」
そこには4つの飴玉みたいなものがあった
喜助さんが私のために…
そう思うとなんだか、涙でそうになる
「ちょっとした変化でもいいから教えてくださいね」
「かわいい~」
手に取ったのは桃色にハートが描かれた薬
「分かりやすいでショ」
喜助さんの遊び心なんだろうな、とすぐにわかった
紫苑はとりあえずひとつ手に取り口に入れる
ん、甘い…
「今日は仕事量抑えてくださいね」
ほんとはついててあげたいんスけど…
そう言って局に戻っていった
しばらくは薬のことが頭にあったけど、特に体に変化もなく薬のことなんて忘れてた
「紫苑ーこの書類…って大丈夫?」
「んー大丈夫…」
仕事真面目な紫苑が珍しく机に突っ伏している
「だけどちょっとだるいかも」
「薬の試験してんだっけ?」
「ん」
「隊長呼んで来ようか?」
その問いに首を横にふる
「あーいたいた、紫苑。調子どうだ?」
「あら、阿近」
小さい子供だけれど、れっきとした局員だ
「だるいって」
私の変わりに琴乃が答えてくれる
「りょーかい」
じゃあなと背中を向けながら手を振る阿近
「あれだけー?子供らしくないわねー」
紫苑は一向に顔が上がってこない
「仮眠室行こうか?」
「…ううん、平気」
よしっ、と紫苑は気合いを入れなおした
その後だるさも徐々に引いていき、いつもの体調に戻った
それを終業後に喜助さんに報告して、明日はまた違う薬を試すことになった
喜助さんは私の感想をもとに、また薬の改良を始めたらしい