第20章 キミが欲しい
「紫苑、も……イきそ……っ」
「あッ…私もッ……んぁ」
律動の速度をあげると同時に、比例して紫苑の声も荒くなる
「やぁッ……ぁッぁッぁッぁぁああ……!」
「っ……は……ぁ」
紫苑の中に熱いドロドロとした欲望を放ち、くたっともたれかかる
お互いの荒い浅い息づかいが交差する
じっとりと汗ばんだ体
はだけた浴衣
しっとりした空気
「最高の誕生日だ…」
空を切って聞こえた台詞は紫苑を充分に満たす
「よかった…」
ハァハァと息を整えながらも笑う紫苑が、ボクのものなんだと思うと幸福感に胸がきゅうっとなる
紫苑から反り立った自身を引き抜くと、そのまま紫苑の横に寝転んだ
掛布団を掛け紫苑の頭に腕をまわす
そっと抱き寄せるとピタっとくっついてくる小さな頭
「ねぇ、紫苑」
「なぁに?」
「ずっとボクのものでいて…」
例え体が離れることがあっても…心だけは…
いつも余裕な、余裕ぶってる彼が言う言葉が余りに悲しそうに寂しそうに、幸せそうに、不安そうに言うもんだから、どうしたものかと頭を優しく撫でてみる
「変な喜助さん…」
「紫苑によしよしされるのも悪くないっスね」
「いっぱいよしよししてあげるね」
紫苑は既に乱れた喜助の髪をわしゃわしゃと掻き乱す
「くすぐったいっス」
この匂いを、体温を、ずっと感じていたい…
ひとしきり髪を弄って満足した紫苑は軽く手櫛で整えてから、喜助の胸に小さく飛び込む
その行為が愛しくて紫苑の額にキスを落とす
上目遣いの紫苑と視線が交わる
ふに、と柔らかな唇を親指でなぞると、くすぐったそうに目を細める紫苑
あぁボクはこんなにもこの子に溺れている
愛して愛して愛しすぎて……
「壊してしまいそう……」
「え、今なんて?」
顎に手をやり上を向かせると紫苑の質問にも答えずに口を塞ぐ
一瞬驚いた紫苑はすぐに目を閉じる
何度も角度を変えて、時にチュ……クチュと音をたてて、お互いの唾液が混ざり合う
「ん……ふぁ」