第17章 きすけさん…いるよね?
ガラッ─
「西園寺さん、点滴失礼します」
そこに来たのは女性の隊員だった
喜助さんはゆっくりと私を離してくれた
「ごめん…ボク隊舎に戻らなきゃだけど、大丈夫?琴乃サンにでも、来てもらうから」
「はい、ありがとうございました」
「本当にごめんね…」
頭を優しくポンポンと叩いて、四番隊の隊員に挨拶をして部屋を出ていく
「浦原隊長とお付き合いされてるんですか?」
「え?あ………ハイっ」
「お似合いですね、羨ましいなぁ」
うつむき頬を赤らめる紫苑を見て、彼女は微笑んだ
「私、西園寺さんの担当になったのでよろしくお願いします」
「あ、そうなんですね…えっと…」
「虎徹勇音です」
「西園寺紫苑です。よろしくお願いします」
彼女が去って、しばらくたつと遠くから大きな足音をたてながら向かってくる者がいた
「紫苑ー!!」
「琴乃…」
「大丈夫?痛いとことかない?手首?あぁ、かわいそうに…」
ひとしきり喋ってスッキリしたのか、隣のイスに座った
「紫苑てほんとついてないね」
「自分でも思う…」
「モテる女は大変だね」
「そういうんじゃないよ…」
琴乃は自分で適当にお茶を入れてきてはまたイスに座り、話し始める
最後の言葉は聞こえなかったらしい
「あ、でもさもうちょっと危機感持ちなよ?」
「危機感?」
「男と2人になったら何されるかわかんないって言ってるの」
なんか怒ってる…琴乃
「紫苑は美人でモテるんだから、変な男だって寄ってくるかもしれないの!今回は隊長が来てくれたから良かったけど、誰も来なかったら大変なことになってたかもしれないんだよ!」
「そうだよね…」
「紫苑は男信用しすぎなの!男はみんなえーと、なんとかって皮を被った狼なんだからもっと警戒心もたないと!いい?隊長は優しくて言えないから言ってるんだからね!今回のことは紫苑だって悪いんだよ!」
「それくらいにしときィ琴乃」
開きっぱなしの扉に立っていたのは
「平子隊長!」
「こないな時に説教せんでもええやん、泣きそうやで」