第17章 きすけさん…いるよね?
第17章 きすけさん…いるよね?
目覚めたらそこは四番隊だった
手首がヒリっと痛い…
「あ…私……」
「気づかれましたか?」
「卯ノ花隊長…」
「浦原隊長がすぐに吸入器を使ってくれたおかげで、大事には至りませんでしたよ」
喜助さん…来てくれたんだ
「浦原隊長にあなたが目覚めたと報告してよろしいですか?」
「はい…お願いします」
誰もいなくなった病室…
手首が痛い…
怖い…その記憶しか、残ってなかった…
「西園寺さん、点滴変えますね」
「あ、はい…」
四番隊の隊員が点滴を変えるのに紫苑の腕に触れる
「やっ!!!」
カラァァン───
いくつかの器具が床に落ちて高い音がする
「あ…」
「西園寺さん、大丈夫ですか?」
震えている紫苑を心配して声をかける
もう一度点滴に取りかかろうとする彼を見て、震えを止めるかのように自分を抱き締めるように腕を掴む
「スミマセン、女性の方に変わってもらっていいっスか?」
「え?あ、はいわかりました」
その言葉で四番隊の隊員は部屋を出ていった
「大丈夫?」
「きすけ…さん」
自分の腕に爪が食い込むくらい握りしめて…どんなに怖かっただろう…
「抱き締めてもいい?」
コクンと頷く紫苑をギュッと優しく抱き締めると、腕の中で安心したように張り詰めていた息を吐き出す
「怖かったね…間に合わなくてごめんね」
「怒ってないんですか?」
「紫苑は何も悪くないでしょ」
「…来てくれてありがとう」
「当たり前じゃないっスか」
紫苑の頭を優しく撫でる
その優しさに安心して涙がこぼれる
「き……すけ……さん……っ……ッ」
「大丈夫…ボクがいるから…安心して」
喜助さんの腕の中は、酷く安心した
「落ち着く…」
「不安になったり怖くなったりしたらいつでも呼んで…飛んでくるから」
「喜助さんがいてくれてよかった」