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With me

第13章 夏の思い出



「転ばないように気をつけて」

「はい、大丈夫で……キャッ」


砂利でバランスを崩したかと思うと、喜助の腕の中に収まっていた


「気をつけてって言ったのに…危なっかしいっスね」

「ご、ごめんなさい」

「そんなとこも可愛いんスけど」


しっかりと手を握って、花火が綺麗に見えるという場所まで歩く

空は大分暗くなって足元がよく見えない


紫苑は無意識に喜助の手を強く握っていた


「大丈夫、もう着くから」


その時空にパァッと花火があがった


「わ……きれーい……」

「ほんとっスねぇ」


目的の場所について腰をおろす

花火はどんどん上がり、その度に明るくなる彼女の横顔がとても綺麗だった


「綺麗…」

「紫苑のほうが綺麗っスよ…」


彼女の右手に、ボクの左手をのせる


「喜助さん…」

「目閉じて…」


静かに、彼女の上から唇を塞ぐ

数秒、空の音が消えたかのように

まるで世界中にボクと彼女しかいないかのように

ずっとボクの彼女でいればいい

ゆっくり離れた彼女の頬は赤く染まっていて

今更妙に胸の奥が鼓動をはじめた


「紫苑、好きだよ」


被せていた左手に力をいれて、右手で彼女の顎に手をやる

もう一度唇を重ねて、離すと彼女が返事をくれた


「私も、大好き」


左手を重ねるのをやめ、彼女の左肩を抱く

ボクの肩に頭を預ける彼女ともう一度空を見上げる


「来年も一緒に来ようね」


これからもずっと、一緒にいたい─



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