人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 卒団、そして入団
リリアが聞いたら怒られそうな言葉遣いも今は許してもらいたい。
だってまさか突然殴られるとは思ってなかった。
未だにぐわんぐわんと揺れる脳に目の前がチカチカする。
「うっ…うぅ」
頭を抱えてなんとか痛みを耐えようと試みるが無理、めっちゃ痛い。意識を飛ばさず座っていることを褒めてもらいたい位だ。
兵長もあれだけの勢いで私の頭に拳を振り抜いたらケガをしてもおかしくない、ちらりと目線だけ上げて様子を伺うと案の定右手の第2関節辺りが赤くなっていて熱を逃すように手首から先をヒラヒラと動かしていた。
「オイ、クソガキ」
「は、はぃ」
俯いていた頭をガシリと掴まれて強制的に上を向かされ兵長と目線が絡む。
「俺は性欲処理に部下を使う趣味はねぇ、まして惚れてもいない女にキスマークなんて面倒くせぇモンをつける訳ねぇだろうが」
頭を掴んでいる反対の手で首筋の一点を指差された。
は??
「聞いてるのか?」
ホレテモイナイオンナニ??
キスマーク???
「はぁあぁぁ!?え?あの、兵長??落ち着いてください!」
「落ち着くのはお前だ。うるせぇな。」
凶悪な顔でチッと舌打ちをされたがコレが落ち着いていられるか。
今の話では兵長が私に惚れている事になる。
そんなわけあるか。
「……夢かな?」
「頭が痛くねぇなら夢だろうな。」
間違いない。現実だ。
ズキズキと痛む頭に夢ではないことを認めざるを得ない。
だけどやっぱり信じられない。
兵長が私に惚れるタイミングなんてあったのだろうか?というか本当に私か?まさか人違い??
いやいやでもここには名指しで呼ばれたわけだし…
「兵長、あの…えぇっと…」
「なんだ」
兵長は隣に座り言い淀んでいる私の言葉を待ってくれている。
「私は慰み者ではないんですか?」
「殴られたりねぇのか?」
いいえ!!と慌てて否定すると兵長は握って見せた拳は解いてくれたものの、寄せた眉間はそのままにこちらを睨んでいるので冷や汗が出る。
「同じ事を言わせるな。お前を性欲処理の相手にする気はない。惚れてると言っただろうが。」
「……っ」
今度こそはっきりと言われ、一瞬で顔面が熱くなる。
でも、でも……
「意味が、分かりません!」
「あぁ?」
兵長の眉間の皺が濃くなった。