人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 卒団、そして入団
「分からないんです。
だって、兵長と話をしたのは数えるほどしか無いし、私はこんな、ガサツで、全然女らしくないし…。
それに私の過去を知ったり、これからの兵士としての姿を見たら幻滅するかもしれないのに…。」
惚れてるっていつから?なぜ?
兵長の周りにはきっと優秀な女性兵士や素敵な令嬢がいる筈なのに、こんな出会ったばかりの男勝りな新兵のどこに惚れるというのだ。
はぁぁという兵長の長いため息にビクリと肩が跳ねる。
うわ…。
私はなんて意味の無い面倒な事を言ってしまったんだ、いくら正直な気持ちとはいえあんな事を言って何になるというのだ。
後悔しても取り消せはしない自分の発言に嫌気が指すが兵長は私の後悔なんて気にも止めず静かに話し出した。
「お前の声がやけに耳に残った。
巨人をぶっ殺すっつった時の目と意志の強さが気に入った。
本気で飛んでいる姿が目に焼き付いた。
エルヴィンに同行した講義で久しぶりに見たお前の雰囲気が柔らかくなっていて柄にもなく動揺した。
俺の言葉や行動にバカみてぇに赤くなっている顔をもっと見たいと思った。
撫でた髪が柔らかくて触り心地がよかった。
話した回数なんざどうでも良い。
過去のお前も未来のお前も俺にとってはどちらも〝これから知るお前〟だ。
それを知った結果俺がどう思うかなんて俺自身わからん。
だから俺は〝今〟後悔しない選択をする。
今までみたアーニャ・マクドル全てが気に入った。
どうしようもなく馬鹿な所も躾がいがあると思えばまぁ悪くない。
分かったかクソガキ」
「はい……。」
ほぼ無意識のうちに声が出た。
とんでもない言葉をもらってしまった。
愛とか恋とか惚れたとか、まだ私には分からないけれど、兵長が今くれた言葉は頭で理解するよりも早く、深く、私に浸透した。
ドクドクと早鐘を打つ心臓と痺れて力が入らないような感覚の体に戸惑いながら、頭の片隅では兵長といると今まで知らなかった感覚にばかり陥ると冷静に判断している自分もいる。
伝えてもいいだろうか。
兵長のようにはっきりとした言葉にはできないけれど、今の溢れて止まないこの気持ちを。
いや、私は伝えたいのだ。
戸惑っている自分の感覚ごと、兵長に私の〝今〟の気持ちを。
「兵長、私は…」