人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第6章 卒団、そして入団
耳元で囁かれる言葉だけでも意識が飛びそうなのに、耳の後ろから首筋をするりと撫でられてゾクゾクと背筋が震える。
いきなりの展開に着いていけない脳内でも、流石に雑用係相手にこんな事しないということは理解できる。
顔の熱もうるさい心臓もまだちっともおさまらないと言うのに兵長の手が頬に伸びてきてぎゅっと目をつぶる。
「兵長!あの、もう分かりました!分かりましたから!!」
勘弁してくださいと兵長の肩を押せばすんなりと身を引いてくれた。
「ほぉ、分かったのか?」
腕を組んで私を見下ろす兵長に、必死に言葉を選ぶ。
無礼の無いように伝えるにはどうしたら良いのだろうか。というかやはり言葉にしなくてはいけないのだろうか?
地下街で男として生活し、訓練兵団では巨人を殺すための技術を必死で学んできた。
そしてやっと調査兵団に入ることが出来た、でもまさか調査兵団での自分の役目がこんな事とは…。
調査兵団は常に人員不足、こんな役目を担う私でも壁外には行く事になる筈だから巨人の殲滅という夢は捨てなくて良いのがせめてもの救いだ。
何のために男として育てたと思ってんだって兄貴に怒られるかな。
でも何故かリヴァイ兵長が相手なら嫌だと感じないんだ。
まぁそもそも私の立場では拒否する権限なんて無いだろうけど。
「あの、適切な言葉が分からず、無礼があったら申し訳ありません。」
流石に兵長の目を見て話す事は出来ずうつむいて膝辺りでぎゅっと拳を握る。
鼻の奥がツンとするがここでポーカーフェイスを発揮しなくてどうする。嫌、顔は見えないだろうけど、声に動揺を出してはだめだ。冷静に。
「覚悟いたしました。
私は兵長の、慰み者になるということですね。」
きっと兵長があえて男みたいな私を選んだのは余計な面倒を起こさない為。
大丈夫、覚悟を決めたからにはウダウダ言いません。
兵長の為に出来ることはなんでもやる。やってみせる。
小さく息を吐き、返事の無い兵長の顔を見上げると今まで見たこと無い程ポカンとしている。
え?慰み者って言葉が通じなかったのだろうか?
だって性欲処理係じゃあんまりに露骨ではないか?
あ、兵長の眉間にしわ…
ゴンッッ!!
「いぃってぇぇぇ!!!」
突然私の頭にとんでもない衝撃を与えた正体はどうやら兵長の鉄拳。
めっっちゃくちゃ痛い。
