人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第1章 特別講師とは?
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「で、誰なんだ?その特別講師っての」
昼食の野菜スープとパンを食べながら先程から盛り上がっているグループの中心リリアに声をかけてみる。
因みに入団の日に私が助けた〝彼女〟がリリアだ。
「アーニャも思わずキュンとしちゃうかもよ?」
可愛らしく微笑んだリリアに何の事だと笑いながら内心、キュンと来るほどの人に出会ったら自分はどうなるのだろうと思う。
訓練兵団に入って1年、信じられない程に厳しい訓練の日々を過ごすなかでも私の周りの女の子達は恋の悩みが絶えない様子だった。たまに相談を受けることもあったが恋愛感情がイマイチ理解できていない私が彼女達の役に立てたのかは自信がない。
そもそも「キュン」てなんだ。なんて私に似合わない効果音なんだ…。
未だに髪を伸ばすことに抵抗があり短いままだし、胸だって通常の下着を着けるのが気恥ずかしく、以前からそうしていたようにサラシで出来る限り押さえつけて大きめのシャツやパーカーで膨らみを隠している私は初対面の人間から見れば男だと思われるだろう。
「結局誰だよ、女が騒ぐような調査兵団…まさかエルヴィン団長か?」
キースの言葉に団長も素敵だけど今回は違うのだととリリアが否定する。
「兵長よ。リヴァイ兵士長。」
リヴァイ兵士長と言えば人類最強の男として調査兵団の中ではエルヴィン団長に次ぐ有名人である。
確かに東洋系の綺麗な顔立ちではある。しかしあの目付きの悪…いや鋭い眼光、そして人の事は言えないが大変な口の悪さと聞いている。どこが良いのだろう
キースも同意見なのか不思議そうな顔をしている。
素直な疑問をリリア達に投げ掛ければあの鋭い視線がたまらない!とか、あの声で名前を呼ばれたらふるえる!とか、なんなら命令されたいとか罵倒されたいなんて際どい事まで言い出す始末だ。
なんというか、女の子って凄い。
私と、キースを始めとする男共は兵長直々の訓練なんて指導(という名の暴力)で嘔吐しないよう昼食は軽めにしておこうとか、ヘタしたら誰か死ぬんじゃないかとか、命は落とさなくても確実にメンタルは死ぬだろうとか恐怖と緊張でちっとも盛り上がる気にはなれなかった。
人類最強の兵長様は訓練兵団である私達にとってある意味巨人より怖い存在であった。