人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 再会
これ以上兵長の近くにいたら私の心臓は破裂してしまう。
とにかく距離をとって落ち着かなければと思い、今度こそ立ち上がろうとしたのだが左手を兵長に掴まれソファに引き戻されてしまった。
「へ、兵長!?」
「心臓がもたない?結構な事じゃねぇか。」
全然結構じゃない!!
掴まれた手首は何故か離してもらえないし、相変わらず兵長は意地悪く笑っている。
もう顔どころか全身熱いし、心臓は全力疾走した時のようにうるさい。
こんなに自分の感情をコントロール出来ないのは数ヵ月前に兵長に訓練を見て貰ったとき以来だ。
あの時は、兵長に頭を撫でられて何かが爆発したような衝撃で……あぁ、さっきキースに聞かれたのはこの事だったのかもしれない。
エルヴィン団長に撫でられたときは特に何もなかった、というか気づいたら撫でられていた、という感じでそのあともこんなに混乱することは無かった。
私はどうしてしまったのだろう?
リヴァイ兵長の声や視線、行動にこんなに心臓がうるさくなるのは本当に尊敬や憧れからなのだろうか?
いや、それだけでは無いことはなんとなく分かっている。
でもこの感情の名前を私は知らない。
するりと左手に絡む暖かさにパッと視線を向けると掴まれていた手首は解放され代わりに手のひらを合わせて指を絡ませるように握られていた。
「考え事とは案外余裕じゃねぇか」
握った手に軽く力を入れながらで?心臓の調子はどうだ?なんて聞いてくる兵長は意地悪すぎると思う。
調子が良い訳がない。
「…もう、死にそう、です」
兵長の顔を見る事なんて出来ずうつむいたまま蚊のような声で本音を言ったら笑われた。
「フッ、壁外に行く前に死ぬんじゃねぇよ。仕方ねぇから今日は解放してやる。」
手を離され、そのままグシャグシャと頭を撫でられて思わずぎゅっと目を閉じる。
無くなった頭の感触に目を開けると兵長はもう立ち上がっていた。
「調査兵団に入ったら覚悟しておけよ。俺はチンタラしてんのは好きじゃねぇ。」
「か、覚悟?」
今言われているのが巨人を倒すため命を懸ける覚悟とは別の意味だということは分かるのだが…
「アーニャ、俺はお前を気に入っている。
かなりな。
俺は気に入ったものは必ず手にいれるタチだ。
これでも意味が分からねぇなら入団までに考えろ。」