人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第4章 再会
「今度は調査兵団の兵舎でな」
「は、はい!」
最後にくしゃりと私の頭を撫でて兵長は部屋を後にした。
かろうじて兵長が退室するときは立ち上がり敬礼で見送ったが兵長は気にしていない様子だった。
ひとりになった部屋で再度ソファに座り兵長の言葉を思い出す。
兵長が私を気に入っている…。
それもかなり??
だから入団したら覚悟がいる??
兵士として気に入って頂けた?
だとしたらとても嬉しい、嬉しいけど、優秀な兵士だからといって手を握ったりはしない…はず。
それは、つまり…?
ひとつの答えにたどり着きそうで、だけど濃い霧の中に迷い混んだように分からなくなる。
リリアのお陰で少しずつだけど、男として生きてきた自分とは違う、ありのままの自分として過ごせる時間が増えてきた。
髪は少し伸びて、整髪用の油で固めるのもやめた。
自分の男としてのスイッチになっていたのか髪を固めなくなってから表情が柔らかいと周りから言われていた。
ただ、私が男として生きていようが、女として生きていようが、生きる目的は変わらない。
変わってはいけない。
強くなる。
そして巨人を必ず殲滅する。
だからこんなに心臓がうるさくて、胸が苦しいこの感情は、だめ。
だめ。
だめ。
コンコンッ
部屋の扉をノックする音に自分が団長や兵長の為に用意された部屋にひとりで居座っていたことにハッとする。
ノックしたのが教官だった場合、なんと言えばいい?
兵長と二人でここにいたことを問われてもなんと答えれば良いのか分からない。
「アーニャ?入るわよ?」
「リリア!?」
予想外の声に驚いているとガチャリと扉が開き、紅茶が乗ったトレイを持ったリリアが入ってきた。
「リリア、どうしたの??」
「さっき教官室の近くでエルヴィン団長にお会いしてね、この部屋に紅茶を差し入れてくれって頼まれたの。
だけど、紅茶を仕度してここに向かっていたら兵長が正面から歩いてくるんだもの、焦ったわよ。アーニャいないし。
とりあえず挨拶して、紅茶を淹れたことを伝えたの、そしたらアーニャが一人で考え込んでるだろうから一緒にソレ飲んで話を聞いてやってくれって。」
どうしたの?と聞いてくれるリリアの優しい声と、リリアから聞いた兵長の言葉にまた胸がきゅっとなる。