第10章 進路決定へ
三学期になったばかりの頃だった。三者面談がもうすぐで行われる。
「進路はどうするの?」
家でご飯を食べ終わり、四人で和室にくつろいでいると、お母さんが中に入ってきた。
先日、担任から悲しいお知らせを受けたばかりだった。
『あの高校の校長先生が教育委員会に掛け合った結果、残念ながら特別扱いは出来ない。補助金は支払ってあげても構わないが、特別に入学は出来ない、だそうだ』
特別入学……世間で言う裏入学はやっぱり出来ない。
もちろん、私達の成績でそんな学校には行けない。
「この高校どう?制服はあそこと同じく自由だし、総合学科だから自分で学びたいことを選べるんだよ」
お母さんがそう言ってきて見せたのは、とある高校のホームページ。
隣の市にある高校なのだが、幸い駅には近いので通うことが出来る。
「総合学科……」
実弥が興味津々にタブレット画面をまじまじと見ている。
「面白そうじゃねぇか?」
実弥がそう言うけど、この学校も入れるかどうか分からない。
受験とはとても厳しく、狭き門である。受かれば勝ち組、落ちれば……。
「僕はお姉ちゃんが入るところならどこでもいいよー」
無一郎はそう言って笑った。義勇も珍しく興味を示している。
「商業科、福祉科、人文科学……よく分からないが、面白そう」
義勇が珍しく気持ちを伝えてきた!問題はそこではないけどね。