第9章 音楽祭
「音楽祭実行委員を決めるので、投票を書いて下さい」
副級長がそう言って、白紙を皆に配った。
「誰に投票しようかなぁ」
「お姉ちゃん、音楽祭実行委員やる?」
無一郎の質問に私は頭を悩ませた。
パネルリーダーもやったのだから、せっかくだし、音楽祭実行委員もやってみたい。だけど、勇気がない。
「お姉ちゃん、僕やってみたいなぁって思うんだけど、ちょっと不安だなぁと思って……」
無一郎がやりたがるなんて意外だ。だから、あんな質問をしてきたのか。
「無一郎、そんなにやりたいなら私もやる?」
「えっ?やった、お姉ちゃんとなら安心だね」
無一郎は嬉しそうに笑って、投票用紙に自分の名前を書いた。私も自分の名前を投票用紙に書いた。
「俺もやってみたかった……」
「えっ、義勇も?」
義勇がやりたがるってもっと意外だ。無口な彼がどうして?
だけど、義勇にはもっと似合う役職がある。
「義勇、君は指揮者が似合うと思う」
「えっ、何それ?」
義勇は首を傾げていた。
「指揮者は合唱する人達とピアノに指示するっていうか……まぁ、一番前で手を動かす人だね」
「へぇーそうなのか」
義勇は嬉しそうに微笑んでいた。