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恋人が意外とSなんですが

第1章 なんか目が笑ってないけど






目の前に座った、爽やかな男性、
名を櫻井翔と言い、年頃は25だそうな。


「ねえねえ、翔くんはさあ」
「あ、私も私も!」
「えーずるいよお」


ポッとでのその彼に女子の視線は攫われ
隣にいる男子はお構いなしに
彼の方へ身を乗り出し
それぞれのアピール合戦が始まった。


ガールズたちが
フワフワひつじちゃん系女子から
毛皮を脱ぎ捨て
生身のハンターへ変わる時。



おいおい、隣のメンズ、
乳で押されて喜んでる場合じゃないわ。
それは邪魔だから席変われの意、です。



なんて人間観察を楽しむのは
1人が長い人の癖だと思う。



私が1人で楽しんでいても関係なしに
彼に対するガールズの話は盛り上がる。



「じゃあさ、じゃあさ、好きなタイプは?」
「ああ、俺?…いや、特にないかな、」



と苦笑いで答える彼に少しガッカリした。
なんだ、爽やかメンズは
面白いことも言えないのか。
(て、何を男性に求めているの私)



「お前らはどうなんだよ」

と彼が男子に話を振り、
1人1人気合を入れて答えてくれた。
の、に、
ハンター達があからさますぎて…泣ける。


頑張れ、草食系男子。




順々に「好きなタイプ」が回ってきて
「ほら、次の番」と言われた。



「…いや、あの、」


私のタイプだなんて聞いても
面白くないはず。
ああ、こんな会早く終わって
加茂長さんに会いたいのに…
(アポイントはない)


「ないの?タイプ、」
と隣の男子から顔を覗かれる。


暗闇で不用意に顔を近づけて
酒臭い男以外だったらなんでもいいわ!
君みたいなね!あははははは!

なんて言える訳もなく


口が滑って出たのは
「ドSが好きです」
とかいうマニアックな趣味だった。









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