第5章 ☆Story23☆ 迫り来る恐怖
「っ……てめぇ……」
『フッ……おい小娘!』
「「っ!?」」
『お前が好きで堪らない彼氏がこの先にいるぞ(嘲笑)』
『っ憲吾!!
憲吾、そこにいるの!?』
「っあぁ!
お前、無事なんだろうな……」
『っ試合は?
今、どこにいるの……?』
「廃倉庫の近くまで来てる。
すぐそっちに行く……!」
憲吾は廃倉庫に向かって走りながらゆりと話した。
吾郎もその後に続くように走っている。
『っ来たらだめ!!
だって大事な試合なんでしょ!?
私は大丈夫だから、お願いだから会場に戻って!!』
「っここまで来て、引き返すことなんてできねぇよ……!
必ず、お前を助ける……!」
『っ……だめ……だめだよ……私なんかのために来ない、で……』
ゆりの声は段々とか細くなっていった……。
「っ……班田!」
『あ?』
「俺がそっちに着くまで、ゆりに何もするんじゃねぇぞ!!」
『ふっ……待ってるぜ、騎士ナイト様よ……(嘲笑)』
またもや班田から電話を切る形になり
憲吾はスマホを持ったまま走り続けた。
「っ班田……本当にゆりちゃんに何もしねぇよな……」
「そう願うしか、ねぇだろ……!」
2人は走る脚を早めた。
ゆりside
班田によって廃倉庫の中に連れられてきたゆり、
ゆりも海斗達と同様柱に両手を縛られた状態で拘束されていた。
そして意識を取り戻したようでゆっくりと目を開けた……
「っ……」
私……
私、確か財前寺さんにハンカチを押し付けられて……
その後の記憶が、全く思い出せない……
まだ状況を把握しきれないゆりは視線を周りに向けた……
「……っ!
これは……一体…「よぉ……ようやくお目覚めか……」っ!?
っあなたは……」
少しだけ状況を把握したゆり、ゆりは再び辺りを見渡した時
班田がゆりの脇から声をかけてきた。
ゆりは目を見開きながら班田をみた……。
「っなんで……」
「ついさっき憲吾に電話した。
お前のスマホからな……(嘲笑)」
「っ!?」