第5章 ☆Story23☆ 迫り来る恐怖
ゆりside
ゆりが意識をなくして20分ほどが経ち、
車は新港区の第一廃倉庫付近のところで止まった。
「……坊ちゃん、着きましたよ……」
「……そうだね、」
海斗はゆりの方に視線を向けた後、車の外に出た。
健人も車の外に出て正面に目を向けると……
「海斗……」
「っ金狼……」
金狼こと空太率いる班田の部下達がずらっと並んでいた。
「……ちゃんと、連れてきたようだな。」
金狼は車の後部座席に乗っているゆりを確認して海斗に告げた。
「あぁ……僕たちは約束は守った。
絶対に、ゆりさんに手荒な真似は「金狼、小娘は……?」っ!」
「っ班田さん……はい、車の後部座席で気絶しています。」
金狼達の後ろから現れた大男、
「……(嘲笑)」
班田は怪しい笑みを浮かべると車の方に歩き出し
ゆりがいる後部座席のドアを勢いよく開けた。
「「っ!」」
海斗と健人は目を見開いて班田のほうを見た。
そして班田は気絶しているゆりの腕を引っ張り
無理やり車の外に引き摺り出した。
「っやめろ……!」
思わず声を荒げる海斗。
意識がないゆりはガクンと地べたに膝をつけた状態になっており
腕も班田に掴まれていない左手はだらんとしていた。
そしてトートバッグの中にいたユウ、
トートバッグはゆりの肩にかかったままだった為
引きずり出された衝動でバッグの中身もろとも地面に放り出されていた。
「ぬいぐるみを持ち歩くなんざ、
随分お子様みてぇな子娘だな……(嘲笑)
おい……」
「はいっ」
金狼は駆け足で班田のもとに駆け寄った。
「こん中にスマホも入ってる……バッグの中身も持ってけ……」
「っはい……!」
返事をすると金狼はスマホをはじめとするゆりの荷物を
適当にトートバッグの中に入れる。
「班田さん、このぬいぐるみはどうします?」
「はんっ!
こんなの、何にも役たたねぇ……そこの海にでも捨てておけ。
今日を機に、お子様を卒業させてやろうじゃねぇか(嘲笑)」
「……はい、「とりあえず鞄は俺が預かる。適当に捨てておけ。」