第5章 ☆Story23☆ 迫り来る恐怖
『……新港区の、第一廃倉庫です。』
「っわかりました!『山田くん!』…っはい、」
『着いても、近場で待機していて下さい……
僕ものちに山田くんのところに合流します。』
「っ……わかりました……」
渋々と返事をする涼介。
『この件は、事務所の方にも伝えてください。』
「っはい!
では、また後で……」
どうやら翔の方はすでに策を打っていたようなので
少しホッとする涼介であったが、不安はまだ取れなかった。
「っ……ゆりちゃん……」
涼介は次に事務所に連絡を入れ車に乗り込んだ。
通話モードをスピーカーにし涼介は運転している状態で
ゆりが置かれている状況などを伝えた。
車を新港区のほうへ走らす涼介。
「ゆりちゃん、無事でいて……!」
憲吾side
「あと少しで、試合が始まるな憲吾……」
「あぁ、そうだな……」
「ゆりちゃん、今日応援に来てくれんだろ?」
「まぁ、LINEではそうきたけど……」
「せっかく彼氏の応援に来てくれたんだから彼女の期待に応えてやれよ笑」
「っおめぇはいちいちうるせぇよ……ったく……_プルルルル‥……?」
憲吾が吾郎と話しているとスポーツ鞄から
LINE電話のコールが聞こえてきた。
「お!ゆりちゃんじゃねぇか?笑」
「……。」
憲吾はスマホを取り出し着信主を確認する。
「ぁ……」
(ゆり……)
吾郎の言うとおり着信主はゆりだった。
憲吾はゆりからかかってきた電話に出る……。
「もしもし……どうした?」
『よぉ憲吾……』
「っ!!」
だがスマホ越しから聞こえてきた声は
ゆりの声からは程遠い男の声、憲吾も知っている男の声だった。
「っなんで……なんでお前が……!」
憲吾は控え室ベンチから立ち上がった。
『はっ!
お前にしちゃ、随分焦ってるような声だな……』
「っ……
班田っ!!!」