第20章 ☆??ルート☆ Bad END
瑛二はコーヒーを淹れる為に一旦退室。その間憲吾はスマホを取り出し
写真フォルダを開いた。そこにはゆりと北京のホテルで撮った
写真も保存されておりゆりは幸せそうに笑っていた。
「っゆり……」
(もうこの笑顔は、見ることは出来なくなるのか?)
テレビや雑誌、ライブの時とはまた違う笑顔。
この笑顔がもう見れなくなってしまうと考えると胸が締め付けられた。
そして同時に今までゆりが言ってくれた言葉を思い出していた。
『好きだよ、憲吾……貴方のことが誰より……』
『これからも憲吾の彼女でいていいの……?』
『っ憲吾じゃなきゃやだ!
憲吾だけだもん……私が好きなのは……憲吾だけだよ……』
『私……どんなことがあっても憲吾だけ好きでいるから……
憲吾のこと、想っているから……』
「っゆり……お前の本当の気持ちを教えてくれよ……」
(もし昨日の言葉が全部本当だったら、
今までのことは何だったんだよ……)
憲吾はスマホを持ったまま顔を俯かせた。
それからしばらくしてトレーを持った瑛二が応接間に戻ってきた。
「三船くん、待たせたな……っどうしたんだ……?」
「っすみません……ちょっと考え事してて……」
憲吾は急いで顔をあげ瑛二を見た。
「ゆりのことか?」
「っ……まぁ……」
瑛二はトレーをテーブルに置き淹れて来たコーヒーを差し出した。
その時チラッとスマホの画面を見ると2人で撮ったものもあれば
太輔達と撮った写真が写っていた。
「……それ、北京の時のかい?」
「っはい……ゆりが、撮りたいって言って……」
「いい笑顔だ……こんな表情は、
本当に気を許した相手じゃないとしない顔だ……。
ゆりの本音、聞けるといいんだがな……」
「っ……」
憲吾は淹れてもらったコーヒーを一口飲んだ。
自分はゆりを動かすことができるのかと一層不安になってきた。
「三船くん、そんなに自分を追い詰めなくていい。
ゆりが口を割らないのには大きな理由があるはず……
焦らなくていい、少しずつゆりの心を開いていけばいい……」
「っありがとうございます、美澤社長……」
2人はコーヒーを飲みながらゆり達が到着するのを待った。