第5章 ☆Story23☆ 迫り来る恐怖
「っ……ごめんなさい、」_モガッ!
「っ!?」
ゆりは突然海斗に顔下半分を
ハンカチのようなもので押さえつけられた。
『っ!?』
(っゆりちゃん!!っまさか本当に財前寺くんが……)
トートバッグの中にいたユウも驚きを隠せなかったが
声が出ないよう必死に声を抑えた。
「んんんんっ!!」
ゆりは海斗から逃れようともがくが
ゆりのか弱い握力で振り払えるものではなく
意識を段々と朦朧とさせた……。
「っ……んっ……」
(っ財前寺さんが、なん…で……)
ゆりの視界はどんどん暗くなってきた……。
「っごめんなさい……」
「っ……」
(そんな悲しそうに謝るなら、なんで……こんな、ことを……)
_ガクッ…
「……。」
ゆりは等々意識をなくしてしまった。
『っ……』
(ゆりちゃん……)
ユウは何もすることができなく、
ただ海斗が何の目的でゆりを拉致したのか
気づかれないようにそっと視線を海斗に向けた……。
「……。」
「……それでは、新港区の第一廃倉庫に向かいますよ?」
「……あぁ、そうしてくれ。」
「……かしこまりました。」
「……。」
海斗はゆりの顔から手を離すと
ゆっくりと寝かせるように優しく背もたれに寝かせた。
『……。』
(この2人、本当はこんなことしたくないみたいな顔してる……
班田の件と、何か関係あるのかな……)
「……。」
海斗はしばらくの間、
意識をなくしたゆりを切なそうに見つめていた……。