第19章 ☆Story36☆ 分岐点
「っ……本当ですか美澤社長……!」
「っ……」
瑛二の言葉に再び表情を曇らす涼介。
「えぇ……宙くんが本当にゆりを好きなのであれば
他のタレントに手を出すことはないはず……そう信じたいのです。」
「宙は一見、チャラチャラしているように見えますが
ボクシングにも真面目に取り組んでいると聞いています。
確かに彼は、まだプロ意識というものが足りません……ですが、
真面目で努力してる面も知っています。きっと宙にとって
ゆりちゃんは興味を惹かれる対象なのではないでしょうか。
彼女のことになると、
周りが見えなくなるとマネージャーも言っていますからね……」
「っそんな一面が……彼に……」
涼介は知られざる宙の話を聞き驚きを隠せなかった。
「ですが今回の一件はあまりにも無責任すぎる出来事でした。
私の方からも直接叱りつけます。……涼介、お前にも
不快な思いをさせてしまったな……本当に済まない。」
栄吉は再び涼介に深々と頭を下げた。
「っ顔をあげてください片桐社長……
貴方がそこまで思い詰める必要はありません……」
「だが、我々の監督不足であることは確かだ。
ゆりちゃんにも、伝えてほしい……。」
「っ……わかりました。
ゆりちゃんにもそのことは伝えます。」
「っあぁ、よろしく頼む……。」
こうして終えた会談、
涼介はゆりにこの事を伝えるのは次会う時にした。その一方で
ゆりはいよいよ憲吾に電話を入れようとするところだった。
だがユウとキラに猛反対されていた。
_sinfonìaドーミトリー
『っ憲吾くんと別れるってどう言うこと!?』
『そうよ!いくら何でも急すぎるわよ!』
「っもう決めたことなの!!
たとえ憲吾がそれでもいいって言ってくれても、
私はもう憲吾を受け入れられない……それだけだよ……」
『っなんで勝手に決めちゃうの!?
ちゃんと憲吾くんと話し合ってから決めなよ!!』
『ねぇゆり……本当にあの日何があったの?
東郷宙と会ってから変なとこ多いよ……
やっぱり、組織と何か関係あるの?アイツは……』
「っだから何もないよ……とにかく、
憲吾に電話しないとだから……」
(部活は終わってるはずだから、多分出てくれるはず……)