第19章 ☆Story36☆ 分岐点
「……彼はきっと、どんな事があってもゆりちゃんを信じるし
これくらいの事ではきっと認めないはずです。それくらい……
真っ直ぐにゆりちゃんを好きだから、大切に想っているから……」
「っ……」
「でも、その真っ直ぐさが今のゆりちゃんには辛いんです。
自分は汚れた人間……そんな自分は彼に相応しくないって思っています。」
「っゆりが、そんなことを……」
「ゆりちゃんは、北京での一件以来
自分が汚れた存在だと思っています。
それでもそんな自分を受け入れてくれる彼が眩しすぎる……
ゆりちゃんは今そう思っています。
だから彼と一緒にいるのが辛いんです……」
「「っ……」」
「2人がこれからどうなるのか、僕にもさっぱり検討はつきません。
けど……このまま放っておくこともできません。
Dolceのチーフマネージャー及びゆりのマネージャーとして、
ゆりちゃんを今の状態にしておくわけにはいきません。
ゆりちゃんは活動だけに専念すると言っていましたが
今の状態では、ソウルや北京でのライブみたいな力は発揮できません。
今までの頑張りは彼の存在も大きかったからです。
だからあそこまでの観客を魅了したんですゆりちゃんは……」
「私も……北京のライブ二日目は生で見たが
ゆりちゃんの姿は力強くとても輝いていた……それは、
その彼のおかげでもあったんだね……」
「はい……だから今の状態で世界一を目指すだなんて、
かなり厳しいと思います……この状態のままヨーロッパでライブをしても
前回のように感動させるライブは無理に等しいです。
グループと言えど、
1人が完成形になってなければ成せる事ではありません。」
「……ゆりと彼の件は、我々の方でも何とかせねばな……
その為にはまず、東郷宙くんとは距離を置く必要があるな……」
「私も、賛成です。
今回の件については宙のほうに問題がありましたから……
これくらいの責任は果たさせてもらいます……。」
栄吉は涼介と瑛二に深々と頭を下げた。
「……片桐社長、確かにゆりと宙くんはしばらくの間
共演NGという対策を取らせていただきます。
ですが番組の件については前向きに考えます。」
「っ……」