第19章 ☆Story36☆ 分岐点
「私は憲吾と別れます。」
「っ……」
ゆりはそう言うと荷物をまとめ帰る支度を始めた。
涼介はもう何も言う事ができずゆりの支度が終わるのを待った。
「……涼介さん、そろそろ行きましょうよ。」
「っ……そうだね、今日もお疲れ様。
帰ったらゆっくり休んで……」
「はい。」
そして2人はテレビ局を後にし涼介は寮にゆりを送り届けた。
涼介はゆりを送るとその足で事務所へ向かった。
_Symphony
「黒木さん、今社長と会うことは可能でしょうか?」
「社長はただいま18時までAnnieの片桐社長と会談中でございます。
それが終わってからでしたら大丈夫だと思いますよ。」
ちなみに今は17:30、待つには短いと思う程度の時間だった。
「わかりました。ではそれまで待ちます。
あの……何で片桐社長がここに……」
「今Annieのほうで推したい男子モデルがいるそうで……」
「っ!
あ、あの……そのモデルの名前ってわかったりします?
もしかして……東郷宙、なんて名前だったり……」
「詳しくは聞いていませんが……
そのようなお名前だったかもしれないですね……山田さん、
なぜ急にそのようなことを……」
「っ彼は……ゆりちゃんを気に入っている……それに、
社長にも報告するつもりだけど
ゆりちゃんと宙くんは今日……っ……」
「っどうしました山田さん、突然顔色を変えて……」
「っ……宙くんに誘われたまま、楽屋で性行為を行ったんだ……」
「っ!?
それは、本当ですか……?」
「っ僕だってこの目で見ちゃったんですよ……!
ゆりちゃんが彼と身体を重ねて……」
「っ……なぜ、三船憲吾くんという恋人がいながら……」
「それはまだ僕にもわかりません……でもゆりちゃんは
三船くんと別れるつもりです……」
「っ……」
「っあの……僕もお二人とお話をしたいんですけど大丈夫でしょうか。」
「っそれは、社長に聞いてみなければ何とも……」
「それじゃ行きましょう。
これは双方の事務所のタレントが関わっている問題です。
このまま穏便に済む話じゃありませんから……」
「っ……そうですね、行きましょう。
社長達は現在会議室におられます。」
明人は涼介を会議室に連れていく事にした。