第19章 ☆Story36☆　分岐点

涼介はしばらく黙っていたが口を開いた。


「っゆりちゃん……知らないうちに傷つけていてごめんね。
俺は確かにゆりちゃんをお母さんに重ねていたところもあったし
三船くんとの関係だってママとパパみたいだなって思ってた……」

「っ……」

「でも実際はゆりちゃん達とママ達では環境も境遇も全く違う。
勝手に舞い上がっていた部分もあったと思う。でもね？
それくらいゆりちゃんと三船くんは
そう思えるくらい素敵な2人だなって思っているんだ。これは本当だよ。」

「っ……私たちは、私は……
そんな素敵だなんて……ありえないですよ……」


ゆりは涼介の言葉に表情を歪めた。
それは罪悪感も出ているようだと涼介は感じた。


「それに、さっきも私言ったじゃないですか……
もう誰も好きにならないって、今はアイドル活動に専念したいんです。」

「っゆりちゃん……何でそこまで……」

「っもう……この話は止めませんか？
今憲吾の話するの、正直キツいんですけど……」

「っ……」


苛立ちの感情も見せるゆり、ゆりがここまで
感情を露わにすることがあっただろうかと涼介は思った。


「そろそろ帰りませんか？私はもう、今日の宙さんのことは
気にしてm「じゃあ最後に一つだけ、聞いていい？」っ……」

「……ゆりちゃん、三船くんと別れるつもり？」

「っ……はい、今の私にも憲吾にも
恋人なんて存在必要ないんですよ。私は世界一のアイドルになること、
憲吾は世界一の選手になることで世界は甘くありません。
これからも一緒にいたらお互い重荷に感じると思います……」

「っ……それが、ゆりちゃんの本音なのかい？」

「……はい。
近いうちに……今日あたりにでも言うつもりです。」

「っ……それで、三船くんは納得するのかい？
きっと納得はしないよ……だって、
今でもゆりちゃんのこと「今日の出来事だって言います。」っ！」

「そうすれば、憲吾だって私に愛想尽かします。」

「っそれでもいいって、三船くんが言ったら……？」

「っそんなの……ありえないですよ……
たとえそうだとしても、私は憲吾と別れます。」

「っ……」