第19章 ☆Story36☆ 分岐点
「私が嫌なのッ!!!!」
「っ!?」
心の内を明かすゆり、この数時間、短期間でゆりの身に
何があったのかはわからないがそれが心の奥底にあった本心だと
いうことはさすがの涼介もわかった……。
「っ……それに、憲吾は優し過ぎるんですよ……
こんな私にまでなんで……」
「っそれはゆりちゃんが大好きだからに決まってるじゃん!
三船くんがそれくらいで……
ゆりちゃんのことを嫌いになるなんて絶対にない!!
だって三船くんはゆりちゃんが選んだ男……
あの2人の娘である君が選んだ男の子なんだ。
そんな簡単に切れる存在じゃない……
それは君が一番わかっていることだろ!?」
「っ……それが重いんですよッ!!
ママとパパはちゃんと赤い糸で結ばれていた!!
でもだからって娘の私までがそうとは限らない!!
ママは最後までパパを愛し続けて、
パパもママを今でも愛し続けている……2人は一途に想い合っていたのに
私はこんなにも見っともなくて……
私を……ママと一緒にしないでください……」
顔を俯かせながら言うゆり、
その目からは涙が溢れ出していた。涼介は咄嗟にゆりの肩に
手を置いたがゆりはそれを振り払った。
「っゆりちゃん……」
_パシッ!「涼介さんは!
私をママに重ねているだけじゃないですかッ!!」
「っ!?
ゆり、ちゃん……?」
「涼介さんは……
初めてマネジメントしたのがママだったんですよね?
……そりゃあ思い入れもあるでしょうし
パパともそれからの付き合いですもんね……
だから涼介さんは両親に強い感情を持っている……」
「っ……俺はそんなつもり……!」
「っ涼介さんはそうでも!私はそう感じるんですよッ!!
他の人だってそうッ!!何かあればすぐ昔のママやパパの話!
ママは色んな人に好かれても、パパだけ一途に愛し続けた……
でも私は、こんなにあっさり心乱してこの有り様……」
「っゆりちゃん……」
今までにないほど自暴自棄になるゆりを痛々しく見る涼介、
ゆりは元からこの想いを抱いていたのか
組織や宙の影響でこうなってしまったのか定かではないが
自分にもゆりがこうなってしまった責任があると涼介は思った……。