第19章 ☆Story36☆ 分岐点
「っゆりちゃん……」
「っ……すみません、涼介さん……
こんな自分勝手なこと言って……でも本当に、
今の私が憲吾と一緒にいる資格なんてないんですよ……だからもう、
憲吾とのことはほっといてください。
私は、これから誰のことも本気で好きにはなりません。
今私がやるべき事はみんなと世界一のアイドルグループになることです。
私は……ママと違って恋も仕事も両立できないんで……」
「っ……」
涼介side
確かに俺は、ゆりちゃんを
百合ちゃんに重ねてきた部分はいくつもある。
容姿のことはもちろんだけど……
誰よりも一生懸命で、とても優しい女の子……。
そしてガラス細工のように繊細な心も持っている……。
ここだけの話、俺も百合ちゃんのことは好きだった。
彼女の底抜けに明るい姿や真っ直ぐなところに俺は惹かれていた。
でもそんな彼女には既に藤ヶ谷さん、ゆりちゃんのパパが居た。
2人は本当にお似合いでこっちまで応援したくなるような2人だった。
彼女のことを好きだった俺でも、そう思える2人だった。
だからゆりちゃんが三船くんのことを本気で好きになって、
三船くんもゆりちゃんに惹かれて……まるであの頃の2人を
思い出すような関係だなって心の底から思った……。
三船くんは班田や組織に囚われたゆりちゃんを
危険も顧みず立ち向かって助けてくれた。
2人はより深い関係になって本当にあの2人そっくりだなって思った……
だからこれからも、
あの2人のように素敵な恋人になるんだろうなって思っていた。
だから今日の事やゆりちゃんの言葉は今でも信じられない……。
でもゆりちゃんにそれが重過ぎたと言うのは事実かもしれない。
よくよく考えてみれば、
ゆりちゃんと百合ちゃんでは取り巻く環境が全く違う……。