第19章 ☆Story36☆ 分岐点
そして自身の楽屋に戻ってきたゆりと涼介、本来であれば
今日の仕事は終わりなのであとは帰るだけだった。だがあのような事が
起きたばっかりなのでもうしばらく楽屋で休んで行く事にした。
涼介はゆりの隣の椅子に座った。
「……ゆりちゃん、聞いても大丈夫?」
「っ何を……ですか……?」
「……ゆりちゃんは、
始めから宙くんを受け入れた訳じゃないんだよね?
彼の言葉回しが、上手かっただけでしょ……?」
「っ……わかりません、でも宙さんはそんなつもりで……」
「っでも、ゆりちゃんが三船くんを想う
好きな気持ちは変わってないんでしょ?」
「……多分、」
「多分って……!」_ガタッ!
「っ……」
涼介はゆりの自信げない言動や表情に
思わず椅子から立ち上がった。
「っねぇゆりちゃん……宙くんに何吹き込まれたの?
……それとも、宙くんは組織の東郷との間に重大な関わりがあって
それで弱みでも握られているのゆりちゃんは……」
「っ……」
「っねぇ、答えてよ……何にも怯えなくていいんだ。
ちゃんと助けを求めて「私は、憲吾に相応しくないんですよ……」っ!」
「私は北京のあの場所で何度も犯されて汚れてしまった……。
あの時は憲吾も許してくれた……仕方ない状況だったから……。
でも、今回のことは違います……私は、宙さんに身体を許しました。」
「っそれは!アイツが無理矢理……!」
「っ……キツいんですよ!!!」
「っ!?」
ゆりは座ったまま声を荒げた。
その声に涼介は驚きを隠せず目を見開いたままゆりを見た。
そしてゆりはそのまま言葉を続けた。
「っ憲吾といるの……辛いんですよ……」
「っ何言って…!
ゆりちゃんあんなに三船くんのことを大事に想っていたのに!
三船くんだって、ゆりちゃんのこと凄く大切にしているのに!!」
「っ……私に憲吾は眩し過ぎるんですよッ!!
こんな中途半端な女の子、中途半端なアイドル……
真っ直ぐ夢を目指している憲吾には相応しくない!!
私がそんな憲吾と一緒にいるなんて……私が嫌なのッ!!!!」
「っ!?」