第19章 ☆Story36☆ 分岐点
楽屋から出て扉を閉める涼介、涼介は壁に寄りかかった。
「っ……」
「っ山田さん!いいんですかあれで!?」
「俺だって認めたくないよ……!
けど、あのままゆりちゃんを連れ出したら
ゆりちゃんにもかなりのダメージが残る……今は、
彼に任せたほうがいい……」
「っアイツゆりちゃんに何して……
ゆりちゃんも何であんな奴に……!」
(悔しいけど……ゆりちゃんが三船に向けて歌ったMiss You、
初めて歌った時も北京の時も強い想いが伝わってきた……
ゆりちゃんが、どれだけ三船のことを想っているのかが……)
タイスケは唇を噛み締めながらゆりと憲吾が
お互いどれほど大切に想い合っていることを思い出していた。
「……藤ヶ谷くん、あの様子じゃゆりちゃんは
いつ出てくるかわからない……君は楽屋に戻っていいよ、
あとはマネージャーの俺が何とかするから……」
「っ山田さん……」
「ゆりちゃんにも、ちゃんと事情は聞くつもりだから……
ゆりちゃんが三船くんと離れたいだなんて思ってないはず。
きっと何か事情があるはずだ……それを聞き出さなきゃ……。」
「っ……ゆりちゃんのこと、よろしくお願いします……」
タイスケは今自分はこの場にいるべきではないと察し
涼介に軽く頭を下げると自分の楽屋へ戻っていった。
そして涼介はゆりが出てくるまでそこで待つ事にした。
「っゆりちゃん……君は一体、何に悩んでいるんだ……」
(何で今まで話してくれなかったの……?
会って間もない男にそんな簡単に許すなんて……)
そしてそれから5分後、服を整えたゆりが宙の楽屋から出てきた。
その後ろには宙の姿もありゆりはまだ気まずそうだった。
「っ……涼介、さん……」
「っゆりちゃん、もう大丈夫なの?」
_コクッ「ご迷惑、おかけしました……」
「っ……今は、いいよ……」
ゆりは小さく頷くと涼介のギュッと袖を掴むと自分の楽屋へ
歩み出した。涼介はゆりの肩を持つと歩幅を合わて歩いた。
「……。」
「っ……」
その間ゆりはずっと無言で自分から何も喋ることはなかった。