第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
「っゆり……?」
いきなり表情が暗くなったゆりを太輔は心配そうに見た。
そして2人の間に何か問題が生じているのではないかと思い始めた。
「っ……あの人が彼氏になることなんてこの先一生ないから笑
私が好きなのは、憲吾だけだから……。
ママがパパを、パパがママを想ってたみたいに大切な人だから……
それは変わらないよパパ……?」
小さく微笑むゆりだがどこか不安げだった。
「っゆり……もしかして三船くんと喧嘩か何かでもしたのか?
さっきの表情……ちょっと引っ掛かってよ……」
「っそんなんじゃないよ!運命の相手って言い方が、
ちょっと重かったかなぁって思っただけ(苦笑)」
(荒木先生は大丈夫だって言ってくれたけど……やっぱり不安……
この先私は憲吾を大切にできるのかな……身体だけじゃなくて、
心まであの人に奪われてしまいそうで怖い時がある……)
「……けど、ゆりが三船くんを想う気持ちは確かだ。
三船くんだって……ゆりを凄く大切にしてくれているんだろ?」
「っうん……憲吾は凄く優しい……
いつも私のことを考えてくれたから……」
「……この先、またどんなことが起きるかわからねぇけど……
俺はお前ら2人を信じるよ……お前らなら、
どんなことでも乗り越えられるって思えるから……。」
「っパパ……」
(パパとママをいろんな困難を乗り越えてきた……
そんなパパからそう言ってもらえるなんて……)
「そりゃあ……まだお前は中2だし運命の相手とか……
ちょっと重く感じるかもしれない……けど、
そう思えてしまうくらい大きな存在なんだろ?三船くんは……」
「っ……うん!」
(そう……私が本当に好きなのは憲吾、たったひとり……。
あの人に犯されていた間も、私の中にはずっと憲吾が居た……
きっと誰も、私の中から憲吾を消すことはできない……)
太輔の言葉で少し気持ちが軽くなったゆり、
表情が穏やかになった娘を見てホッとする太輔はコーヒーを口に運んだ。
そしてパフェと食べながら会話を続け時刻は17時を回るところだった。
「5時か……ゆり、そろそろ帰るか?」
「っ!?
え、えっと……私はまだ大丈夫だよ?……あ!
私星の丘公園行きたい!」
(結構話したけど、6時までまだ時間ある……)