第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
職員玄関で太輔を待つゆり、そんな中東郷からCメールが届いた。
ゆりはスマホをポケットから取り出しメールの内容を確認する。
「っ!……学校にまで何よ……」
(今度の内容は……っ……)
【父親と18:00まで一緒に居ろ。
場所はどこでも構わない。
カフェに行っても公園でもどこでもいい。
父親と時間を過ごせ。】
「っ何よこのメール……まさか、東郷さんなりの気遣い?
って……!そんなこと、あるはず…ない……」
(でも、この指示は東郷さんには何のメリットもない……
わざわざ何で……)
ゆりが考えている中、
挨拶を終えたであろう太輔が職員室から出てきた。
「ゆり、待たせたな。
それじゃ寮の近くまで送るかr「っねぇパパ……!」どうした?」
「っパパって……この後用事ってあるの?」
「いや、特に何もねぇよ。報告は明日でいいって言われてるから
学校に寄る必要もないし……それがどうかしたのか?」
太輔は首を傾げながらゆりを見た。
「っいや、あの……せっかくパパと会えたしカフェとかでお茶とか……
したいななんて思ったり……」
「……俺は別に、構わないけどお前はそれで大丈夫なのか?
必要以上に外に出歩くの、山田くんとかから言われてないのか?」
「っ……パパとなら平気だよ!
一人で出歩くのは当然駄目だけどさ……だめ、かな……?」
(ここでだめって言われたらどうしよう……)
不安げに太輔を見るゆりだったが
太輔は「はぁ」と一息つくと頷いた。
「ゆりがそう言ってくるなんて、珍しいな……まぁ俺も、
たまにはお前とゆっくり話したいって思ってるし構わないぞ。」
「っホント!?
よかったぁ……(苦笑)」
「どこか行きたい所でもあるのか?」
「えっと……いくらパパと一緒だからって
一般の人に見られるようなところは避けないとだよね……あ、そうだ!
火天地区にランシっていうカフェがあるんだけどあそこなら
テーブルごとに個室になってるからピッタリかも。」
(ゆうゆうと前行ったけどパフェ美味しかったんだよなぁ……)
「火天地区ならそんなに遠くねぇな……わかった、ならそこにするか。」
「うん!」
こうしてゆりは久々に太輔の車に乗り
ランシのある火天地区に向けて出発した。