第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
こうして隠し部屋を出た2人、ゆりは教室に向かうことにした。
「荒木先生、今日はありがとうございます……。」
「あぁ、また何かあれば言ってくれ。
それじゃまたHRでな……」
「はい……」
2人は図書室を出るとそれぞれ別れた。
「っ……」
(さすがに東郷さんも、学校の中には入ってこないだろうし
部下の人が見張るにしても外から覗くのが限界なはず……
会話だってきっと聞かれてないはず……でももし、
あの会話が聞かれていたら憲吾は……)
ゆりはまた不安になったがきっと大丈夫だと信じ教室に向かった。
教室に入れば千鶴や愛美、獅依留と魅月もおりゆりに気づくと
愛美はゆりに手を振った。
「あ、ゆりちゃんお仕事お疲れ様!
こんな微妙な時間に登校ってちょっと嫌だよね(苦笑)」
「ねー!どうせだったらあのまま仕事かうちに帰りたいもん笑
5時間目は数学だっけ?それで6時間目は化学……眠くなりそー……」
「と言いつつこなすのがゆりなんだよなぁ……
その頭脳俺にも分けて欲しいわ……」
「獅依留、お前はもっと自分で努力しろよ。」
「う゛……汗」
獅依留は魅月にズバッと言われそのまま机にうつ伏せた。
「そう言えば、
ゆりは6時限目のことまだ何も知らされてないの?」
「6時間目?千鶴、何のこと?普通に授業じゃないの?」
「その様子だと何も知らないようね……」
「っえぇ!?なになに!?
何があるの!?」
「……ゆりちゃん、お父さんからも特に聞いてないの?」
「っパパから……?
ううん、何も聞いてないけど……」
「「あらら……」」←
「っだから何!?」
千鶴と愛美は声を揃えてゆりを見た。
何を言ってるのか分からないゆりは4人を見渡した。
「6時限目はゆりのパパさんが授業するのよ。
特別講師としてね。」
「……えええええ!?」
千鶴のあっさりとした言葉に声を荒げるゆり。
まさか自分の父親が授業しに来るとは想定外の内容だ……。
「ゆりちゃんのお父さんってこともあるんだろうけど
あの紫鶴大学でも結構先生やってたもんね。
それで呼ばれたんじゃないかな……」
「っだからって何で急にうちのパパが来るのよ……汗」