第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
剛太に抱きしめられるゆり、何度抱きしめられても
安心できるような温かさがあり涙をさらに流した。
「それ……辛かったよな?
誰にも言えないで……でも、もう大丈夫だ。
ゆりが俺に東郷のことを話したっていう証拠はどこにもない。
聞いた話は全部、内密にて櫻井さんに伝えるから安心しろ。
……まだしばらく、アイツの指示に従うことになるかもしれないけど、
できるだけ早く対策できるようにお願いするから……」
「っ……先生、ありがとうございます…私……っ私……!」_ぎゅっ…
「っゆり……」
ゆりはやっと誰かに話せたという感情から
ぎゅっと剛太の背中に腕を回してそのまま泣き続けた。
剛太は優しくゆりの頭を撫でながらしばらくの間抱きしめた。
「っ一昨日……憲吾にも東郷さんのこと聞かれて、
でも私何も言えなくて……憲吾に、嘘ついて……っ……」
「仕方、ねぇよ……もしそこで言ったら、
本当に危害がいくかもしれないんだから……」
「っ憲吾……優しいから何度も言ってくれた……話して欲しいって……
でも、私は憲吾を傷つけることしかできなくて……!
私……私……!」
「っゆり、そんなに思い詰めんなよ……
ゆりは三船のことを想って言っただけなんだろ?
それは、三船にも伝わってるはずだ……。
だからそんなに自分を責めるなよ……
誰にも言えない分、俺が話し何でも聞いてやるから……」
「ぅ…うぅ……!」
「ゆり……」
剛太の胸の中でずっと泣き続けるゆり、
この時剛太は思った……。やはりゆりを本当の苦しみから
救い出してくれるのは憲吾ただ一人だけだと……。
自分はあくまでそれを手助けすることしか出来ないということを
泣き続けるゆりを見て痛感した……。
こうして昼休みの時間は刻々と進んでいき
あと15分ほどで午後の授業に入ろうとしていた。
ようやく泣き止んだゆりは剛太を見上げた。
「っすみませんずっと泣いちゃって……昼休み、
あと少しで終わっちゃいますけどお昼大丈夫ですか……?
私のせいで時間が……」
「っ俺は平気!
一応職員室で軽く食べたし……あと2時間だし平気平気!笑」
「っそう、ですか……?
先生がそう言うならいいですけど……」