第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
「っ……んじゃ、これからさ……」
「……?」
「特別授業……受けてみない?
絶対に誰も分からない場所で……」
「っ特別、授業って……」
「俺と限りある人しか知らない場所……そこなら、
誰も入れないし俺しか開けられないから……」
「っ……」
「……こっちだ。」_グイッ…
「っ先生……!」
剛太はゆりの手を取って図書室のさらに奥に進んでいった。
そしてある本棚の前まで辿り着くとある本を押した。
すると何やら解錠されるような音が聞こえそのまま扉のように開かれた。
「っ……ここって……」
(隠し扉になっていたの……?)
「入って……」
「っ……」
驚きの表情を見せるゆり、
剛太はゆりの手を取ったまま扉の先へ進んでいった。
そしてしばらくすると扉は閉まり完全な密室となった。
「ここは仮面ティーチャーに変身する時に使う隠し部屋なんだ。
ゆりと三船達を助けに行った時もここで着替えて
そのまま地下まで降りてあの倉庫に向かったんだ……」
「っやっぱり……先生が仮面ティーチャーだったんですね……
北京の時は、なんで……」
(櫻井さんがわざわざ要請したってことなのかな……)
「あの時は、俺が櫻井さんに無理を言ってお願いしたんだ。
俺の元教え子から、
ゆり達が危険な組織に目を付けられているって聞いたんだ。
それからいても立ってもいられなくてな……条件付きで、
俺も北京に向かったんだ。」
「っなんでそこまでして、私たちのことを……」
「っんなの、ゆり達が何より大切だからに決まってるじゃん……
俺がこの世の中で一番大切に思っているのは、生徒達だ。
大切な生徒達が傷つくのは絶対に嫌だ……だから何が何でも守りたい。
それはゆりだって同じだ。
ゆりが助けを求めているなら絶対に助けに行くし
ゆりを傷つける奴も絶対に許さない。
それくらい、大切な存在なんだ。」
「っ先生……」
(先生が生徒を大切に思ってるのは知ってる……けどここまで
私たちのことを大切に思ってくれているなんて……)
ゆりはここまで生徒第一に考える教師がこの世に
いるのだろうかと思った。きっと同じ仕事をしている父でも
ここまで生徒第一に考えることはできないだろうとさえも思った……。