第18章 ☆Story35☆ 揺れ動くココロ
「っゆり……大丈夫だよな……とにかく、
早く櫻井さんに連絡しねぇと……」
こうして剛太はすぐ翔に連絡を取り
ゆりが東郷と接触していた事と車のナンバーを伝えた。
『っまさかゆりちゃんが東郷と接触を……』
「っはい……ゆりが自ら東郷と会う事はないと思います。
なので何かしら脅されてるんだと思います……」
(もしかしたら、三船にも同じ様な事が起きてることも……)
『その可能性が高いですね……どうやら東郷は、
我々より一歩先をいっているようですね。
貴方の気配を瞬時に察するとは……』
「っ櫻井さん……
本当にゆりの周りにも見張りをつけているんですよね?
なのになんでこんなあっさり……三船だって、
いつ東郷と接触するかもわからない……」
『三船くんのほうには当面24時間体制でついています。
ゆりちゃんのほうにもつけているつもりでしたが
警備にまだ甘さがあったようですね……直ちに改善します。』
「っお願いします……」
こうして電話でのやりとりを終えた剛太、ちなみにスマホには
ゆりから貰ったパンダのストラップがぶら下がっておりふと
ストラップに目を向けた。
「っゆり……また怖い思いしてねぇといいけど……」
(明日は確か午後から登校だったよな……
ゆりにも、直接聞かねぇと……
昼休み頃、ちょっと昇降口辺りで待っててみるか……)
_現在
こうして今に至るわけだが
昼休みに入って5分後くらいにゆりが昇降口に現れた。
俺は偶然を装いながらゆりに声を掛け
いつものように図書室に向かって話を聞くことにしたのだ。
けどゆりは何を言っても俯いて黙ってしまう……
やはり事務所の人たちにも言えないほど事情があるらしいが
ゆりの前ではあくまでただの担任……
東郷のことも事件の経緯も詳しく知らないただの先生だ。
仮面ティーチャーとして東郷と一度接触しているが俺がそれを言えば
正体がバレてしまうから直接的な表現は言えない。
だからゆりの口から直接聞くことしかできないが
ゆりは一向に東郷のことを話さなかった。