第17章 ☆Story34☆ 代替試合
ゆりと憲吾は手を繋ぎながら部屋の前まで行くことにし
少し歩けばあっという間に部屋の前に着いた。
「ここからだと街を一望できる感じがあっていいね。
空も綺麗に見えるし……」
「そこまで思ったことねぇけど、確かに言われてみればそうだな……」
「……また、ここでお別れだね。
今度はいつ会えるかな……」
ゆりは名残惜しそうに憲吾を見上げ
憲吾もまた名残惜しそうだった。
「また……いつでもLINEでも電話でもいいから……
お前が都合のいい時で、大丈夫だから……」
「ありがと憲吾……ねぇ憲g_ギュッ…っ…」
憲吾に抱きしめられるゆり、
ゆりは背中に手を回し抱き返した。
_ギュッ…
「憲吾……好きだよ……」
(絶対、守ってみせるから……
憲吾には、何もさせないから……)
「俺も、ゆりのことが好きだ。
今日は試合……負けちまったけど次は勝つから。
今よりも、強くなって……
お前の隣にいてもおかしくないくらい……」_ギュッ‥
憲吾はそう言うと抱きしめる力を強めた。
「っ憲吾……憲吾なら、大丈夫だよ。
私も世界一を目指して本気で頑張るから……一緒に頑張ろ?」
「……あぁ、そうだな。」
少し体を離しお互い見つめ合う2人、ゆりはその瞳に
吸い込まれるように少し背伸びをして憲吾の唇にキスを落とした。
「……憲吾、」
_ちゅっ…
「っ……」
数秒のキスをすると唇を離し再び憲吾を見上げた。
「あの時……ホントは唇にキスしたかった……
でもそれはまだ、できないから……」
(そんなことをしたら、周りの人みんなに迷惑をかけちゃう……
だからせめて、2人だけの時は……)
「っゆり……」
「私……どんなことがあっても憲吾だけ好きでいるから……
憲吾のこと、想っているから……」
「っ……」
目に涙を浮かばせながら喋るゆり、憲吾はやはりゆりの
周りで何かが起きているのではないかと思い始めていた。