第17章 ☆Story34☆ 代替試合
憲吾side
「私……どんなことがあっても憲吾だけ好きでいるから……
憲吾のこと、想っているから……」
「っ……」
なんでゆりはこんな悲しそうに言うんだ……?
やっぱり、吾郎の試合の最中に何かあったのか?
東郷宙にキスしたのも、それが関係があるのか……?
それとも、
俺がゆりを不安にさせるようなことをしたのか……?
憲吾はゆりの涙を人差し指で拭った。
「俺は、ゆりのことしか見えてねぇから……
そんなに思い詰めるな……なんで、そんなこと言うんだ?」
(どんなことがあってもって、
もしかしてまた東郷に目をつけられて……)
ふと組織の組頭である東郷を思い出した憲吾、
ゆりがまた奪われてしまうのではないかと不安になった。
「っ……私たち、滅多にこうして会うことができないでしょ?
だからちょっと心配になっただけ(苦笑)
大したことじゃ、ないから……」
「っ……ゆり、」
っそんな顔で、大したことないって……
やっぱり、何か俺に隠していることでもあるのか……?
「っまさかとは思うけど……お前、また東郷に何かされてるのか?」
「っ!?っそ、そんなわけないじゃん(苦笑)
いくらあの人でも日本でそんなことできるはずないよ……
組織のことは、警察以外でも動いているみたいだし
そんな簡単に手は出してこないよ……」
一瞬表情を引きつらせたゆりだがすぐ元に戻した。
だが憲吾はそれを見逃さなかった。
「っゆり……やっぱり、
アイツが何か関係してるんじゃねぇのか?
今日……東郷にキスした時も、なんで急に……」
ゆりはあんな人前でキスをするような人物じゃない。
ましてや初対面の相手に自分からするなんて……
もし本当に、あの東郷兄弟が組織の東郷と繋がりがあったら
脅されてした可能性だって……
「っ東郷さんは本当に関係ない!!
私が、したいと思ったからしただけだよ。
宙さんも、憲吾ほどじゃないけどカッコ良かったし
悪い人にも見えなかったから……っごめん、なさい……
憲吾のことも考えずキスしちゃって……」
「っ……」