第4章 ☆Story22☆ 空の街、神々の世界
太輔side
ゆりが突然消えて数時間、
特にぬいぐるみが喋り出す様子もなく俺は夕飯の支度を始めた。
何年もここに住んでいて、1人でいることがほとんどで、
この環境には慣れているはずなのに……
やけに部屋が広く感じ、とても静かだ……
ついさっきまで、百合が当たり前のようにいて……
「……百合の奴、戻ってくんのかな……」
太輔は料理をする手を止めふとベランダ先の夜空を見た。
「……ま、期待はしないでおくか……
普通なら、死んだ人がここにいるはずねぇんだから……」
そう、百合はもう……14年前に死んだんだ……。
普通なら、ありえないことなんだよな……
それが当たり前の事のはずなのに……
「……はぁ、」
また戻って来て欲しい……そう願う自分がいた……。
「……。」
太輔は再び料理する手を動かし始めた。
_数十分後
「こんなもんだろ……」
料理も食卓に並び終え席に座る太輔。
「……。」
太輔はふとテーブルに置いてあったスマホに目がいき手に取った。
ちなみにスマホの待ち受け画面は
14年前の結婚式の際に撮ってもらった最初で最後の家族写真、
まだ生まれたばっかりのゆりはカメラに慣れておらず
シャッターの光が眩しいのかちょっとしかめっ面になっていた。
「今となっては、すっかりカメラ慣れしてんのにな笑」
これがもう14年も前だなんて……
時の流れはとても早いものだと思う……。
太輔はLINEを開き……
「……ゆり、」
百合がいなくなったせいか、
ふとゆりと話したくなってきた……。
「……。」
太輔は一瞬連絡を取るか迷ったが、
以前剛太が家庭訪問しに来た時にかけられた言葉を思い出し
ゆりに電話をかけてみることにした。
_プルルルルル…
「……。」
_プルルルル..ピッ