第17章 ☆Story34☆ 代替試合
「っらあ…!」
「もうお前の負けは決まってんだよ!」
お互いに拳を振り上げる憲吾と宙、
時間は残り3秒となりほぼ同時に顔へ向かい先に届いたのは憲吾だった。
「っ!」_ドゴッ!
「うぐッ!」
宙はよろめいたが膝をつき倒れることはなく耐えた。
そして試合終了のゴングがなり判定の結果10−8で宙が勝利した。
『10−8で赤・東郷宙の勝利!』
「っ憲吾……」
(惜しいところまでいってたのに……)
「やっぱり、
第2ラウンドで余計な体力を消耗したのが一番の敗因かな……」
「っでも!憲吾頑張って耐えてましたよ!
っナイスファイト憲吾!!」
「ゆり……っ……」
ゆりに目を向ける憲吾だったがすぐ視線を逸らした。
「っ憲吾……」
(やっぱり、悔しいよね……自分で負けた原因がわかってる分……)
「三船くん、決勝戦でもおかしくないくらい
いいゲームだったよ。ありがとう。」
宙はグローブを取ると憲吾に手を差し出した。
憲吾もグローブを取るとその手を取り握手を交わした。
「お前みたいな選手と対戦できてよかった……
また対戦できる機会があれば次は勝つ。」
「おう!強い相手と戦えるほど楽しいことはねぇからな。
次はもっと強くなってこいよな。」
「あぁ、そのつもりだ。」
「よかった……特に険悪な雰囲気にならなくて(微笑)」
ゆりは互いに健闘と称え合う2人をホッとした様子で見たが
先程東郷から送られてきたメッセージのことを思い出した。
「っ!」
(っそうだ……宙さんが勝ったから、私宙さんに……
もしここで言う通りにしなかったら憲吾が……)
『ゆり?また顔色変わった、どうしたの?』
「っううん何でもない!(苦笑)
宙さんに、お祝いの言葉何にしようかなって……」
『別にそんなの「おめでとう」だけでいいじゃん。』
「そう、なんだけどもう少し何かないかなーって(苦笑)」
リングから降りた憲吾と宙、憲吾は吾郎にポンと叩かれた。
「お疲れ憲吾、お前もいい試合したじゃねぇか。」
「負けちまったけどな……けど、
自分の欠点を直すためのいい機会だった。」
「だな、俺たちの成長はここからだってことだ!」_バシバシッ!
「ってぇな……背中そんな強く叩くんじゃねぇよ……」