第17章 ☆Story34☆ 代替試合
「宙!!いい加減にしなさい。
失礼にも程があるぞ。」
「悪りぃ悪りぃ兄ちゃん笑
ついテンション上がっちゃってさぁ……んじゃさ!」
「っ!?」
宙はゆりの方に無邪気な笑顔を向けた。
ゆりは思わずギョッと宙を見あげた。
「無理言ってるのは承知だけどオレが三船くんに勝ったらさ!
ゆりちゃんから何かご褒美貰いたいよねー♪
例えば……ほっぺにチューとかさ♪」
「っ!?」
「「っはあああ!?」」
宙の言葉にゆりは言葉を失い関係者は声を一斉に上げた。
そしてキラは堪忍袋の緒が切れたのか立ち上がり宙の元に歩み寄り
右手をあげたかと思えばその手を宙の頬に向かって振り落とした。
_パシンッ!
「「っ!?」」
「っキラちゃん!?」
『アンタふざけんのも大概にしなさいよ!
ミーハーなファンだかなんだか知らないけど図々しいのよ!』
「な、なんかゆりちゃんそっくりの
ロボット出てきたし……すげぇ!!」
突然キラに打たれたにも関わらず宙は興味津々にキラを見た。
『っ……そもそも!
ゆりがそんな過剰なファンサービスするわけないでしょ!』
「っ……君の気持ちもわからないことはないけど、
さすがにこんなのは駄目だよ。キスなんてファンの域を超えてる……」
涼介は複雑な表情を見せながら宙を見た。
そんな中憲吾も呆然と立ち尽くしながら宙を見ていた。
「えぇ……やっぱり駄目かぁ……ゆりちゃんはどう思ってんの?」
「っ!?
っそんなの……」
『っゆりに聞いても意味ないでしょ!』
「っ……すみません、
ほっぺでもさすがにキスはできません。ごめんなさい……」
ゆりは謝りながら目線を逸らした。
『ほら見なさいよ!』
「ちぇぇ……んじゃお祝いの言葉くれるくらいならいいでしょ?」
『アンタいい加減しつこい……』
「っ……それくらい、なら……」
(一体何なのこの人……)
『っ甘やかすなー!』
キラは保護者の如くゆりを叱る。
「キラちゃん完全に保護者だな……汗」
(とはいえ、ゆりちゃん相手にそんなこと堂々と言うなんて……
ただの世間知らず?いや、そんなふうには見えないけど……)
涼介は疑問を頭に浮かべながら宙を見た。